山陽労組に勝利命令!岡山県労委、山陽新聞社の差別人事などを認定

 印刷部門の別会社化に反対する山陽新聞労働組合の運動方針を理由に、正副委員長を新印刷工場から排除した山陽新聞社に対し、岡山県労働委員会は2人を印刷関連会社に出向させるよう求める救済命令を出しました。会社が強行した異業種配転を「組合の弱体化を図る見せしめ人事」と判断。不当労働行為と認定し、不当人事の撤回を通じて、早期解決を促しています。

 命令書は11月29日、労使双方に届きました。2018年5月に稼働した新工場(岡山県早島町)を運営する山陽新聞印刷センター社への出向を認めなかった人事を、県労委は「差別的」「到底適切であるといえない」と判断。編集局工程管理部への異動を「労働組合の正当な行為と認められる山陽労組の活動を理由とするものであり、他の動機は見当たらない」としました。

 高校卒業以来、約40年間にわたって印刷職場一筋に勤めてきた2人への人権侵害も認定。県労委は「知識や経験を生かす機会を奪われ、長年にわたり従事した仕事に対する誇りを傷つけられた」として「精神上の不利益を与えるものであった」と認めました。

 会社側の「2人が出向すれば印刷センター社の業績低下の恐れがある」などとする人格攻撃まがいの主張も、審問での労担(当時)や常務の発言を根拠に、「2人は職務専念義務違反や企業秩序違反の指摘をうけたことはない」「本社工場で印刷センター社の従業員とともに勤務していた当時、業務に混乱を生じさせた事情も認められない」と退けました。

 県労委は、事態の解決を図るため、印刷職場での勤務継続を望む2人を工程管理部に配転した18年5月7日付の人事異動の撤回を命令。印刷センター社に2人の出向を申し入れ、新印刷工場で働く他の労働者と差別しない処遇を求めている。不当労働行為を繰り返さない旨を記載した文書を山陽労組に手渡すことも求めました。

 印刷センター社の2人に対しての使用者性は認めなかったが、同社に対し、「出向を受け入れ、必要な研修を受けさせるなどの協力が行われることを期待する」としています。

 申立人である山陽労組と労連本部、中国地連は11月29日、岡山県庁で記者会見。不当配転の当事者である田淵信吾委員長、加賀光夫副委員長が「組合活動を萎縮させる『見せしめ人事』の不当性が認められた」と訴えました。

●山陽労組・田淵信吾委員長のコメント

 支援していただいた新聞労連や日本マスコミ文化情報労組会議、岡山県労会議の仲間、そして県民の皆様とともに、この決定を喜び合いたいと思います。皆様に心より感謝申し上げます。命令では、山陽新聞社が行った2人への異業種配転などが厳しく断罪されました。加賀副委員長の定年までもう3か月しかありません。社に対し、二度と同様行為を繰り返さないとの誓約文書を私たちと取り交わし、中央労働委員会への再審査請求や岡山地裁への行政訴訟を提起せず、全面解決へ動くことを強く求めていきます。

●新聞労連・南彰委員長のコメント

 長年印刷職場に従事してきた山陽新聞労働組合の2人の組合員を、山陽新聞社が「組合方針」を理由に印刷業務以外の部署に不当な配置転換を行ったことに対して、岡山県労働委員会が「差別的な取り扱い」と「支配介入」にあたるとして「不当労働行為」と認定する命令を出しました。印刷センター社の使用者性について見解が異なる点はあるものの、大部分で組合側の主張に沿った命令を勝ち取ることができました。この間、岡山県をはじめ全国の皆さんから寄せられたご支援に心から感謝を申し上げます。

 県労委の命令では、山陽新聞労働組合の活動の「正当性」を強調。山陽新聞社が行った差別的な人事によって、2人の組合員が「印刷業務に関する知識や経験を活かす機会を奪われ、長年にわたり従事した仕事に対する誇りを傷つけられた」点を認定しました。この間、不当な組合攻撃を行ってきた山陽新聞社の経営陣は猛省し、この命令を速やかに受け入れて組合側に謝罪をし、対話をするよう強く求めます。

 また、印刷センター社の使用者性は認められませんでしたが、命令では山陽新聞社から出向申し入れを受けた際には、受け入れることを期待するとあります。印刷センター社にも真摯な対応を求めます。

 「ハラスメントのない社会」の実現が求められているなか、職場のハラスメントに悩み、苦しむ人々に寄り添いながら、社会の意識改革の先頭に立つべき報道機関の人権意識の欠如はゆゆしき問題です。また、紙面のあり方についてきちんと社内で議論しようとする労働組合を敵視する山陽新聞社の体質に対しては、2019年2月に新聞労連が呼びかけた市民集会「これでいいの?山陽新聞」に定員を大幅に上回る400人が集まるなど、厳しい不信の目が注がれています。今回の命令を真摯に受け止めることによって、山陽新聞社が市民に信頼される報道機関になることを願っています。新聞労連も、山陽新聞労働組合のメンバーと一緒に、現場からのボトムアップで信頼される新聞づくりに取り組んでいきたいと思います。

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