【再販制度・特殊指定を守る闘い】(2000年度定期大会議案書から)

【再販制度・特殊指定を守る闘い】(2000年度定期大会議案書から)

 1998年3月31日、公正取引委員会は著作物再販制度に関する最終報告書を発表した。著作物再販制度に対し「競争政策の観点からは廃止の方向で検討すべきもの」だが、「文化の復興・普及と関係する面もあり、廃止した場合の影響について配慮と検討を行う必要がある」と、初めて著作物が国民の文化形成に深く関わっていることを認め、「即時廃止」は、当面見送るが、指摘されている新聞業界の弊害改善・是正がどうなるかをみながら、再販制度の存廃は2001年3月までに結論を出すと公正取引委員会は言明した。

 だが、その後も公取委は再販撤廃のための下準備を着々と進め、98年5月には、これまで原則全面禁止だった景品を3ヵ月の購読料の8%を上限に認め、さらに同年9月から懸賞も大手紙が押し切る形でスタートし、事後承認の形で99年1月、「新聞ルール」が作られた。景品類提供の上限ルールの見直しを検討している新聞公取協委員会は6月の会議で「6ヵ月の8%」で合意した。7月中に公聴会を開催し、9月から施行の運びとなるとみられる。

 一方で、新聞が一般商品とは異なる公益性の高い特別な商品であると主張し、他方で新聞が一般商品と変わらぬ景品と懸賞を認めてしまった。このような矛盾が通用するはずはなく、再販制度維持で理解を示した文化人らを離反させる結果となった。

 再販制度の骨抜きを狙った公取委は98年12月、萬を持して新聞業界の特殊指定の廃止を打ち出した。公取委の本音は、「景品や懸賞をすでに容認している新聞に定価販売を強制する特殊指定はいらない」とする考えであり、99年1月中旬にも決着する動きを強めていた。これに対して新聞労連は、特殊指定の存続運動を99春闘の中心に全力で闘った。こうした運動の結果、特殊指定の廃止問題は部分的な修文に止まり、制度そのものは当面存続されることになった。

 公取委は01年をにらんで新聞業界の弱点である流通の弊害是正を掲げ、各個攻撃の戦術を取り続けている。撤廃勢力は最終報告でも述べているとおり、「制度の弾力的運用」に名を借りて01年春に予定されている再販見直しを待たずに、なし崩し的に崩壊させることを狙っている。特殊指定の修文がアリの一穴となり、発行各社が勝手な拡大解釈をすれば再販撤廃に直結することになる。

 新聞業界の課題は、読者・市民から指弾を受けている不正常な販売を根絶させ、販売正常化を実現させることである。さらに、読者・市民・消費者団体から再販・特殊指定制度のいっそうの理解を得るには、発行本社の業務内容やコストを明らかにする経営の情報公開を進めることも大切である。また、販売苦情相談窓口や不正常な販売を監視していく第三者機関の設置など、きめ細かな対応も必要だ。再販見直しまで半年余りとなった。労連・地連・単組一体となり、販売正常化を推進させる