東京総行動、要請行動。公正取引委員会へ「特殊指定問題」
公正取引委員会委員長 竹島 一彦殿
2006年3月14日
日本新聞労働組合連合(新聞労連)
中央執行委員長 美浦 克教
「新聞の特殊指定」堅持の要請
貴委員会は昨年11月、新聞をはじめとする「特定の不公正な取引方法」(特殊指定)の見直しを表明しました。新聞の特殊指定は価格割引を禁じて「同一題号同一価格」を担う役割を果たし、著作物再販制度を担保しています。「戸別配達制度維持」に特殊指定と再販制度が重要な役割を果たしており、特殊指定の改訂や廃止は価格競争を招き、戸別配達制度が崩れる第一歩となりかねず、新聞労連は改廃に反対します。
著作物再販制度に関しては約10年におよぶ議論の結果、貴委員会は1998年に「一定期間経過後に結論」として、2001年3月には「当面同制度を存置」の結論を出しました。01年の結論では「同制度の廃止について国民的合意が形成されるに至っていない」と述べていましたが、約5年が経過したものの新聞の再販制度が国民の利益に寄与している状況は変わっていません。
こうした中で貴委員会が特殊指定改廃の検討を始めたことは理解に苦しむものであります。報道によれば貴委員会は「特殊指定がなくても一般指定で十分ではないか」「新聞の値引き販売がいけない根拠が見出し難い」と述べていました。しかし新聞労連がこれまで何度も述べてきたように値引き販売を禁じた特殊指定が改廃されれば、新聞販売店同士の値引き競争は必至となり都市部では購読料が下がり、経営力の弱い販売店は撤退を余儀なくされ配達効率の悪い過疎地や離島では値上がりするのが確実です。現在の新聞宅配網は販売地域を明確に区分したテリトリー制で維持されておりますが、値引き販売によって宅配網が混乱すれば、同じ新聞でも販売店による価格差を招くことになるでしょう。
新聞の同一題号同一価格と戸別配達制度が崩れた場合、地域による情報格差が広がります。これまで維持してきた制度は新聞社だけでなく販売店とその従業員、さらにはこれを支持してきた読者・国民が築いてきたものと言えるでしょう。その土台になるのが著作物再販制度と特殊指定です。再販制度が多様な言論を保障するものならば、特殊指定はその伝達方法として国民の利便性に応えてきた流通を保障するものであり、いずれも国民の利益に大きく寄与していることは言うまでもありません。今後も多様な言論の保障と全国一律に同一価格で入手可能な戸別宅配制度の継続を多くの国民が望んでいます。
共謀罪新設に伴う刑法改正が取り沙汰されるなど、政府の言論・表現の規制が強まる中で、新聞をはじめとする報道機関の役割はますます重要になっています。「言論・表現の自由」「知る権利」を守るためには、新聞の同一価格と戸別配達制度の維持は不可欠です。貴委員会で検討されるべきは「既存の規制を緩和させる」ことではなく、長期的な視点から国民の利益につながるか否かにあるはずです。このまま議論が進んで改訂または廃止となった場合、先に述べた事態が現実のもになることが憂慮されます。新聞労連として貴委員会が特殊指定改廃の意向を直ちに撤回することを要請します。
以上