第114回定期大会報告

大会宣言~連帯と行動が未来の力~

 新聞労連は7月23、24の両日、都内で第114回定期大会を開催した。メーンスローガンは「今、新たな挑戦の時 創り上げよう新聞の未来」。大会冒頭、豊秀一委員長は「産業、ジャーナリズムの再生のためには、職場の元気が必要。弱い立場の人に勇気を与える記事はその中でしか生まれない」と呼びかけた。平和な暮らしや人権、言論を守る役割が、ますます重要になる時代にあって、担い手であるべき新聞産業の基盤は揺らいでいる。厳しい現実に正面から挑んでいくことを誓い、新執行部に取り組みを引き継いだ。

 世界は未曽有の経済危機に見舞われている。国内では、非正規労働者が、真っ先に職を奪われている。経営側の身勝手さと、社会保障のぜい弱さがあらわになった。「自己責任」、「競争原理」を優先してきた社会は立て直しを迫られている。

 新聞産業では、聖域のない「合理化」が進められている。09春闘、夏季一時金闘争では、大幅な減額回答や手当切り下げ提案が相次いだ。契約社員の雇い止め問題も各地で頻発している。職場のゆとりがそぎ落とされ、「命と健康」の問題も深刻化している。我慢を重ね、働く希望を失ってはいないだろうか。職場や生活の破壊を招く安易な合理化を許してはならない。

 今年1月に提起され、初めて立ち上げられた非正規対策プロジェクトは、6回にわたる議論の結果を報告した。この中で浮かび上がったのは、同じ職場で働く非正規の仲間たちが、どのような職場環境の中で働いているか、具体的なことがほとんど把握できていないことだった。プロジェクトメンバーの田端博邦東大名誉教授は「正社員主義は非常に根が深い。取り組みは相当な決意を持ってやらなければできない。非正規雇用の人たちを道具的存在から解放することは、正規労働者の労働環境改善につながる」と指摘した。非正規労働者の働く環境を改善し、組織化を図るため、今こそ具体的な一歩を踏み出す必要がある。

 労連が07年に立ち上げた産業政策研究会は、販売や広告、ネット、地域など、多様な角度から産業の実態を問い直している。2年目の今回、報告書には「社会の公器である新聞が、滅ぶことは許されない」という覚悟を記した。小関勝也座長は「産業研究と新聞研究を並行して、継続的に取り組んでいくことが必要だ」と強調した。私たちはこの活動をさらに発展させ、将来に結び付けていく。

 私たちは、暮らしと労働環境の向上、よりよい紙面づくりを進めるために、そして平和と人権、言論の自由を守るため、新聞労連の旗の下、団結を一層強固にし、力強い運動を展開していかなければならない。京都、宮古毎日、奈良、内外タイムスの各労組、そして困難に直面している仲間を全力を挙げて支援しよう。非正規労働者の相談窓口をつくり、組織化を進めよう。地域や他産業との連携も深めていこう。産業政策研究や販売正常化運動を進め、新聞の信頼を高めていこう。そうした連帯と行動こそが、新聞の未来を創る力となるはずだ。

2009年7月24日 新聞労連 第114回定期大会

豊委員長(朝日)を再選

新聞労連非正規対策プロジェクト、産業政策研究会から報告

 新聞労連第114回定期大会が7月23、24の両日、東京・春日のの文京区民センターで開催され、2009年度の運動方針を決定した。役員人事では在京副委員長に小平哲章氏(東京)、在阪副委員長に和田達生氏(奈良)、書記長に藤本勝也氏(時事)を新たに選出、豊秀一委員長(朝日)を再任した。一倉基益副委員長(上毛)、安田英之副委員長(在阪=朝日)、木部智明書記長(日経)は退任した。大会ではメインスローガンの「今、新たな挑戦の時 創り上げよう新聞の未来」を採択した。また、大会前日の22日には08年度最後の拡大中央執行委員会が行われた。

 大会は議長団に土屋豪志(共同)、平辻哲也(報知)両代議員を選出し、議事に入った。MIC・津田清副議長(出版労連前委員長)、JCJ・酒井憲太郎事務局長の来賓挨拶に続き、豊秀一委員長が挨拶。豊委員長は「今大会で提案する運動方針が新聞労連のマニフェストだ。どうやって攻めの闘いを再構築していくかが問われている。賃金・一時金の大幅減や手当カットなどに対し、問題意識を共有しておく必要がある。産業政策ではどうしたら新聞の未来が拓けるのか議論し、非正規問題では安易に正社員を非正規に置き換えてきた会社の政策を正していかなければならない。より良い新聞ジャーナリズムをどう作っていくのか新研活動の充実も急務だ。多くの課題が山積しているが、今大会での充実した議論を求めたい」と問題提起した。

 08年度の本部活動報告、財政報告の提案後、非正規対策プロジェクトチーム(PT)から東京大学名誉教授の田端博邦さん(労働法)から約半年にわたる取り組みについて報告が行われた。田端さんは「PTの報告書は『正社員主義からの脱却をめざして』をタイトルに掲げた。これまで日本の労働組合は企業別組合として正社員の利益を守ってきた。これは当然の行動といえるが、今や労働者の3分の1が非正規であり、企業主義や正社員主義から脱却しなければ非正規を守ることはできない。新聞は社会正義の観点から非正規を批判してきたが、足下の非正規労働者を守っていない」と指摘した上で、「組合は労働者の平等性を深く考え、非正規労働者の使い捨てを阻止するべきだ」と提言した。

 続いて産業政策研究会から小関勝也座長(河北仙販)が2期目の研究会活動について「新聞2009 明日への道標」と題した報告書をもとに活動の総括と次年度への課題などを挙げた。

 争議報告では京都、宮古毎日、奈良の各労組から組合員の雇い止めや不当労働行為争議における経過と今後の闘いについて報告。内外タイムス労組からは、新たなスポンサーが経営に参画してきたことや労連が06年に貸し付けた3000万円についての返済について報告があった。

 本部から09年度の運動方針案と予算案を提案し、一括質疑・討論では2日間にわたって12人から発言があった。

 2日目は連合・大塚敏夫総合局長と全労連・根本隆副議長から来賓挨拶の後、一括質疑を再開。本部が討論のまとめを行い、08年度の実績批判案と財政報告案、09年度の運動方針案と予算案が拍手で採択された。

 役員改選では09年度の本部新体制の発足と08年度役員の退任が承認された。辰巳知二全国役薦委員長(共同)は「(現在空白となっている)委員長ローテの5単組目選出は必須課題だ。09年度ではローテ確立委員会(仮称)を立ち上げる。5単組目の決定に向け、全国の地連・単組でも徹底した議論をお願いしたい」と挨拶した。大会宣言の提案・承認の後、最後に藤本新書記長の団結ガンバローで閉会した。