百田尚樹氏と自民党国会議員の発言に抗議
2015年6月26日
日本新聞労働組合連合
中央執行委員長 新崎盛吾
憲法改正を推進する自民党若手議員が集まった25日の勉強会で、作家の百田尚樹氏が沖縄の地元紙を「つぶさないといけない」と発言したことに、新聞労連は「新聞メディアへの弾圧であり、報道の自由への侵害だ」として強く抗議する。
報道によると、沖縄県の地元紙が政府に批判的だとの意見に対し、百田氏は「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない。あってはいけないことだが、沖縄のどこかの島が中国に取られれば目を覚ますはずだ」と主張した。個人の発言は自由であり、新聞への批判や異なる主張について我々は真摯に受け止める。しかし百田氏は今年2月までNHKの経営委員を務めるなど、メディアに関わってきた人物であり、約40人の国会議員が集まる場で講師として発言している以上、看過するわけにはいかない。「島が中国に取られれば目を覚ます」という発言も、米軍基地集中の負担に苦しむ沖縄県民の思いを逆なでする危険な発想だ。
安全保障関連法案(戦争法案)を批判する報道に関し、出席した議員から「マスコミを懲らしめるには広告料収入をなくせばいい。文化人が経団連に働き掛けてほしい」との発言もあったとされる。報道の自由を侵害しているという自覚がないとすれば、憲法軽視も甚だしく、立憲主義国家の国会議員としての識見が問われかねない。
沖縄タイムスと琉球新報は、太平洋戦争で住民の4人に1人が命を落とした激しい地上戦を経験し、今も米軍基地が集中する沖縄の地元紙として、文字通り市民に寄り添った報道を続けている。昨年の知事選や衆院選で明確に示された「辺野古への新基地建設反対」「集団的自衛権の容認反対」という民意を反映し、市民目線の論調を守り続けている。新聞労連は、沖縄の加盟単組の仲間が地元に密着して取材、報道を続ける姿勢に敬意を表し、ともに連帯して不当な批判と闘っていくことを約束する。
以上