平和主義を脅かす憲法改悪に反対する特別決議

2017年7月21日
日本新聞労働組合連合
第130回定期大会

 安倍晋三首相は憲法記念日の5月3日、ビデオメッセージで憲法について「9条1項2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」改定を行い、2020年に施行させたい意向を表明した。多くの専門家が憲法違反と指摘する、集団的自衛権の行使を可能とした安全保障関連法が制定された現在の状況で自衛隊を憲法に明記すれば、日本国憲法の根幹である「平和主義」を脅かすと私たちは懸念する。「二度と戦争に加担しない」ことを誓い結集した新聞労連は、この改憲論議の方向性に強く反対する。

 首相は改憲の理由として、「自衛隊を違憲とする議論が今なお存在している」ことを挙げている。しかし、これまで政府は一貫して、憲法13条の「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」を守るために自衛力を持つことは、憲法9条2項が定める「戦力不保持」に反せず合憲だと説明してきた。9割を超す国民が自衛隊を必要と考えているのも、この考え方が広く受け入れられて、災害時などの救助活動への評価も高いからだ。「自衛力」が「戦力」ではなく合憲である根拠の柱が、「集団的自衛権の行使はできない」ことだった。安保関連法でその線引きが曖昧にされてしまった上に自衛隊を憲法に書き込めば、これまでの前提が崩れてしまうと私たちは危惧する。ましてや安保関連法を強引に成立させた安倍政権が、この改憲を進めることに疑念を覚える。

 憲法論議が盛り上がり、国民が憲法への認識を深めることは、民主主義の足腰を強くする。ただその論議は、日本国憲法の根幹であり普遍的価値である「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」を進化させる方向でなければならない。私たちは、「再び戦争のためにペンを、カメラを取らない、輪転機を回さない」ために、平和主義を脅かす動きに対し警鐘を鳴らし続けていく。

以上