第133回臨時大会特別決議
現場からのボトムアップで、読者に信頼される新聞をつくろう
――宮古新報労組と連帯し、取り組みを全国へ――
2019年1月24日
日本新聞労働組合連合(新聞労連)
中央執行委員長 南 彰
今年1月、沖縄・宮古島で半世紀にわたって日刊紙を発行してきた「宮古新報」が存続の危機に立たされました。
その原因は、同社の代表取締役社長が長年にわたって社員に繰り返してきたセクシュアル・ハラスメント、パワーハラスメントです。社長はその責任を社員に追及されると、新聞経営の意欲を失ったと言いだし、新聞発行を打ち切ろうと、社員全員に解雇通知まで出しました。自らのハラスメントの問題を覆い隠すように、地域と共に歩んできた新聞発行を一方的に投げ出す社長の言動は、社会の公器である新聞の経営者の姿勢として許すことができません。
宮古新報の社員は労働組合に結集し、解雇通知後も新聞発行を継続しています。その根幹にあるのは、人権侵害であるハラスメントと決別し、読者のための情報発信へ取り組むという倫理観や使命感です。その姿勢に全国からさまざまな支援が寄せられ、新しい経営者のもとで紙面発行を継続する道が開かれました。
ハラスメントの問題をめぐっては、昨年4月に財務事務次官の放送記者に対するセクシュアル・ハラスメントの問題が発覚して以降、新聞労連は「ハラスメントのない社会の実現」を目指して、自分たちの足元からハラスメントを一掃する取り組みを進めてきました。
ハラスメントは人権侵害です。それにもかかわらず、泣き寝入りをしたり、志半ばで職場を去らなければならない仲間を生みたくないからです。そして、足元のハラスメントの問題に目をつむっていては、私たちの社会のなかでハラスメントに悩み、苦しんでいる人たちに真に寄り添い、救済していくことができません。新聞が信頼されるメディアとして存続するために欠かせない要件だと考えています。
宮古新報労組の取り組みは、改めてそのことを教えてくれました。
ネクストジェネレーションが魅力を感じる「ポスト平成」の新聞のあり方を目指して。2万人の仲間が結集するネットワークを生かしながら、現場からのボトムアップで読者に信頼される新聞をつくっていきましょう。
以上