「第5次男⼥共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え⽅(素案)」に関するパブリックコメント

 新聞労連は9月7日、政府が公表した「第5次男⼥共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え⽅(素案)」に関して、内閣府男女共同参画局推進課に以下のようなパブリックコメントを提出しました。

「第5次男⼥共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え⽅(素案)」に関するパブリックコメント

 「第2部Ⅲ第10分野 教育・メディア等を通じた男女双方の意識改革、理解の促進」の「4 メディア分野等と連携した積極的な情報発信」の具体的な取組として、以下のような記述があります。公権力によるメディア介入につながりかねない内容であり、削除を求めます。

 ② 女性記者をはじめとするメディア分野等で働く女性のネットワークを構築し、その育成・組織運営に携わる管理職・経営層等を巻き込みつつ、男女共同参画の視点からのメディアにおける取組について認識を共有するとともに、その成果を業界団体等に周知することで各業界における自主的な取組を促進する。その際、中央だけではなく地方とも連携を図る。

【理由】

 主語は明示されていませんが、政府の基本計画であることから、「政府が女性記者などのネットワークを構築する」ことを目指す内容と読み取れます。記者は本来、独立した立場から権力を監視する役割を担っています。そのようなメディア関係者を公権力が組織することになれば、メディアの自律性を揺るがし、民主主義社会に不可欠な権力監視機能を弱めかねません。日本で女性記者が所属する最大規模の労働組合として強く懸念し、記述の削除を求めます。

 なお、新聞労連は、「特別中央執行委員(女性役員枠)」を設けるなどの積極的是正策を講じ、2019・20年度の女性役員比率は30%以上を達成。そのようなボトムアップの取組を重ねるなかで、経営側・業界団体にもジェンダーバランスの改善を求めています。ジェンダー・ギャップの解消は喫緊の課題ですが、あくまでメディア側が自律的に取り組むべきものです。公権力によるメディアへの介入は、日本国憲法第21条で保障された表現の自由・報道の自由を侵害する行為で、容認できません。

2020年9月7日
日本新聞労働組合連合(新聞労連)
中央執行委員長 南 彰