MIC声明「世論無視の強行採決に強く抗議する」
2015年7月15日
日本マスコミ文化情報労組会議
議長 新崎 盛吾
自民、公明両党が15日の衆院特別委員会で、自衛隊の海外活動拡大を可能にする安全保障関連法案(戦争法案)の強行採決に踏み切ったことに、日本マスコミ文化情報労組会議は「平和を願う国民の声を無視した暴挙だ」として、強く抗議する。
法案は、衆院憲法審査会に自民党推薦で出席した学者や内閣法制局長官経験者までが「憲法違反」と指摘し、さまざまな立場から「廃案にすべきだ」「慎重な審議が必要」などと、与党側の拙速な対応を疑問視する声が上がっている。審議が進むにつれて法案の曖昧さが浮き彫りになり、閣僚の間で見解や答弁が食い違うケースもたびたび見られた。憲法学者に「違憲」と指摘されれば「合憲という学者もいっぱいいる」と答え、「合憲とする学者の名前をいっぱい挙げて」と言われて3人しか挙げられなかったのに「数の問題ではない」と言い訳するありさまは、まるで下手な漫才か茶番劇を見ているかのようだった。
新聞やテレビ各社の世論調査では、法案への「反対」が「賛成」を圧倒的に上回り、安倍晋三内閣の支持率も審議時間と反比例するかのように落ち込み、ついには不支持率が支持率を上回るまでになった。審議時間を重ねてアリバイ作りをしただけで数の論理を押し通した強行採決は、「十分な説明が尽くされていない」との国民の疑問にまったく耳を傾けず、「戦争ができる国づくり」に盲進する愚行だ。安倍首相が米議会で表明した対米公約を果たすためならば、沖縄・辺野古への新基地建設と同様、対米従属の政治姿勢をあらわにしたともいえるだろう。
さらに看過できないのは、自民党若手議員の勉強会(文化芸術懇話会)に講師として出席した作家の百田尚樹氏が「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」と主張し、参加した議員から「マスコミを懲らしめるべきだ」などと、報道の自由を軽視した発言が相次いだことだ。民主主義の根幹の一つである報道の自由、言論・表現の自由を全く理解せず、上から目線で世論操作を図ろうとする議員の資質は問題にせざるを得ない。
私たちメディアに関わる者は、権力による言論封殺につながる動きを許さず、平和と民主主義を守るために、今後も憲法違反の「戦争法案」に反対の声を上げ、廃案を目指して運動を続けていく。
以上
日本マスコミ文化情報労組会議
(新聞労連、民放労連、出版労連、
全印総連、映演労連、映演共闘、
広告労協、音楽ユニオン、電算労)