有事関連法案の採決に対する抗議声明

有事関連法案の採決に対する抗議声明

 有事関連7法案が14日、参院本会議で自民、民主、公明3党などの賛成多数で可決された。市民の生命や財産に関わる重大な内容を含む法案にもかかわらず、まともな審議をせずに数の力で押し通そうとする小泉政権の姿勢に断固、抗議する。

 国会に上程された「国民保護法案」や「米軍支援法案」は、昨年成立した有事関連3法案を補完するもので、これらすべてが通って初めて米軍と自衛隊が「心おきなく」戦争をすることができるようになる。国民保護法案の実態は、米軍の行動を支援し、国民の権利を制限することにある。言い換えれば、「先制攻撃も辞さない」という米軍とそれを支援する自衛隊の活動を国民の抵抗から「保護」するものと言える。

 「米軍支援法案」は、米軍に弾薬の提供、補給、輸送、修理、医療、通信などの支援を行うことや、自治体や民間事業者に米軍支援要請に応じる「責務」を負わせるものとなっている。

 「特定公共施設利用法案」は、民間の港湾や空港、道路などを米軍や自衛隊に優先利用させることを定め、それに従わない場合は強制使用することが定められている。

 市民の生命や財産に関わる「国民保護法案」では、自治体や指定公共機関に指定される民間事業者、運輸・医療関係者だけでなく、NHKをはじめ民放などマスメディアも戦時体制に協力を強制する内容だ。具体的には土地・家屋の強制使用や立ち入り禁止地域の設定、交通規制など国民生活の統制を罰則付きで定めている。市民の知る権利を担うメディアがこのような有事体制に組み込まれること自体、ジャーナリズムの「死」につながるといえよう。

 イラクでの日々の現実は、有事法制が協力しようとしているアメリカの戦争が、いかに無法かつ非道なものかを明らかにした。しかも小泉首相は米国に追随し、これまで憲法上許されないとの立場を取ってきた多国籍軍への自衛隊参加を、その解釈をねじ曲げてまで言い出している。
これらの関連法案を許すことは、世界の平和を望む声に背を向け、国際的に日本が孤立化する道を進むことになる。小泉首相はそもそも「有事とは何か」について説明責任を果たしていない。私たちは改めて有事法制関連法案の成立に反対の意思を表明する。

2004年6月14日
日本新聞労働組合連合
中央執行委員長 明珍美紀