ジャーナリストへの攻撃をやめよ イスラエル軍に断固抗議する
朝日新聞ガザ通信員の死を悼み、一刻も早い恒久停戦を求める
3月24日、パレスチナ自治区ガザで朝日新聞の通信員を務めたムハンマド・マンスールさんがイスラエル軍の攻撃により亡くなった。29歳だった。朝日新聞の報道によると、マンスールさんは日本のNPO法人の現地スタッフとして勤めていた縁で2023年10月から通信員となった。ガザ南部ハンユニスの自宅にいた際にイスラエル軍による空爆を受けた。亡くなる直前まで被害状況を伝え、停戦合意が破られイスラエル軍が激しい空爆を再開したのを受け「私たちの『日常』が、また始まった」と書いた。ガザに住む人々がいかに筆舌に尽くしがたい苦しみを味わっているか、日本に住む私たちに届けようと避難を続けながら伝え続けた。マンスールさんの死を心から悼むとともに、私たちの大事な仲間を奪ったイスラエル軍の蛮行に断固として抗議する。
ガザにおいては相次いでジャーナリストらが命を落としている。報道によると、ガザ当局は2023年10月の戦闘開始以降、200人以上のジャーナリストが犠牲になっていると明らかにしている。国際ジャーナリスト連盟(IFJ)はガザにおいて少なくとも168人のジャーナリストやメディア労働者が殺害されたと発表している。マンスールさんが亡くなった24日にはアルジャジーラの記者も殺害されており、国際NPO「ジャーナリスト保護委員会(CPJ)」は2人が標的にされた可能性があるとして国際的な調査を求めている。危険を冒しながら戦地からその惨状を伝えるジャーナリストは、世界の人々にとってかけがえのない存在だ。ガザで命を落とした全てのジャーナリストとメディア労働者を悼むとともに、ジャーナリストの保護はいかなる状況においても尊重されなければならないと改めて強く訴える。
戦闘開始以降、ガザでは既に5万人を超える人々が亡くなっている。多くは民間人だ。言うまでもないが、ジャーナリストを含む民間人への攻撃は国際人道法に反する。圧倒的な戦力で、イスラエル軍は逃げ場のないガザに壮絶な攻撃を続けている。1月の停戦合意は3月18日以降の再攻撃により事実上崩壊し、ガザの人々はさらなる絶望の中での暮らしを余儀なくされている。5万人という途方もない人数は、ただの数字ではない。一人一人に、将来に希望を抱いて懸命に生きてきた人生があり、戦争は無残にもその人生を奪ってしまったのだ。私たちは国際社会の一員として、マンスールさんたちジャーナリストが伝えてくれたガザの人々の声を受け止め、パレスチナの地に恒久和平が実現するように強く働きかけなければならない。イスラエルにもイスラム組織ハマスにも、一刻も早く戦闘を止め恒久停戦を成立させることを求める。
2025年4月4日
日本新聞労働組合連合(新聞労連)中央執行委員長
日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)議長
西村誠
朝日新聞労働組合 本部執行委員長
高木真也