【 特別決議 】参政党による神奈川新聞記者に対する記者会見排除に抗議する
参政党が7月22日、参議院議員会館で開いた定例記者会見で、神奈川新聞の石橋学記者の取材を拒否した。記者会見は14議席を獲得し躍進した参政党が、参院選の総括と今後の目標について発表する趣旨だった。ところが、石橋記者が会場に入ったところ、党のスタッフから退席を求められた。スタッフは事前の登録がないので「退席していただきたい」などと主張。石橋記者が抗議すると「とにかく駄目」「こちらには主催者権限があるのであなたを拒否している」とさらに強硬な態度になり、「警備を呼んだ」と威嚇的な姿勢も示し、石橋記者は取材から排除された。公党である参政党による報道の萎縮を狙った圧力であり、市民の知る権利を著しく損ねる行為だ。石橋記者が質問し、記事を執筆する権利も奪った。報道の自由への侵害だ。強く抗議し、今後同様のことを繰り返さないよう求める。
石橋記者は参院選の選挙期間中、神奈川選挙区で初当選した参政党候補を取材。「外国人は優遇されている」とした発言を事実に基づかないと指摘したり、街頭演説で抗議に集まった市民を指して候補が「ああいうのは非国民ですから」と話したことを記事にしたりするなど、候補の言動を批判する記事を精力的に執筆していた。参政党は共同通信の取材に対して「過去に会見に出席したことがある記者は事前申請不要だが、それ以外の記者は必要だった」と説明している。その要件が前もって内部で決まっていたかどうかは知る由がないが、案内文に記載がない以上、出席記者は事前に知り得ない。
参政党は24日、「神奈川新聞記者の定例会見への参加制限について」と題した文章を公式ホームページにアップし、石橋記者の排除問題に関する見解を示した。参院選の選挙期間中に、石橋記者が「本党の街頭演説で大声による誹謗中傷などの妨害行為に関与していたことが確認されている」として、石橋記者が出席することで混乱が生じる恐れがあることを理由に挙げた。しかし、こうした説明は後付けに過ぎず、22日の会見時の「事前申請が必要」という説明も虚偽である。参政党は、記者会見はユーチューブでノーカット配信し誰でも視聴できるとして、特定の記者や報道機関を排除する意図はなく、会見は公開されていると主張している。だが、記者会見は傍聴ができるだけでは成り立たない。記者との質疑応答がなければ、発表者側の一方的な情報提供に終わってしまう。石橋記者を排除したのは、批判的な質問を封じるためだったと考えるほかない。公党として責任逃れと言える行為だ。
神奈川新聞社も23日、「ジャーナリズム全体を軽視する行為と言わざるを得ない」との抗議文を参政党に提出している。新聞労連に集う約1万6千人の仲間たちは、石橋記者と神奈川新聞社に連帯し、知る権利、報道の自由への圧力や攻撃に対して毅然と闘っていく決意だ。
2025年7月25日
日本新聞労働組合連合(新聞労連)
第146回定期大会