言論萎縮を招く一方的な記者の名指し批判に抗議する

 宮崎市が市長名で、宮崎日日新聞社が紙面やネット掲載した記事に対する「抗議及び訂正の要請」(2021年2月17日付)として、執筆した記者や新聞社に対する確認などを経ず、一方的に記者の個人名を出し、公開で抗議したことに強く抗議します。

 抗議を受けた記事は、宮崎市と障害者福祉事業所との給付費の過払いを巡る民事調停に関するもので、2月10日付け朝刊社会面で展開されました。記事では、宮崎市が事業所にとって不利になるような虚偽の内容を記載した準備書面を提出していた、と報じています。これに対し、宮崎市は2月18日、市のホームページで、「本市が故意に虚偽内容の準備書面を民事調停に提出し、裁判官からの指摘を受けて、本市がその内容が虚偽であることを民事調停において認めたという誤った認識を読者一般に与えかねない報道がなされた」と指摘。「報道が事実無根だとして、抗議と訂正の要請を行った」と抗議文を公開しました。その抗議文の冒頭に宮崎日日新聞社に対する厳重な抗議と速やかな訂正を要請し、さらに「記」として、掲載した日付と面、見出しともに記者の氏名を追記しています。

 報道機関に対する記事への抗議自体は決して否定するものではありませんが、公権力である行政機関が行う際は、社会的影響が多大なことから、抑制的で慎重であらねばならないことは明白です。今回の抗議では宮崎市と報道機関の「見解の相違がある」段階で、双方からの丁寧な事実の確認を経ないまま、自己主張を一方的に展開し、報道機関に加えて記者個人を目立たせる形でホームページに掲載しています。

 報道機関の編集活動は、さまざまな立場の人が関与し結実するものです。編集権を持つ組織が責任を持ち掲載や配信を行っているにも関わらず、記者個人を名指ししたのは、記者個人の社会的信用を失墜させることになりかねません。「行政機関が問題視した場合は、名指しで批判される」というイメージを流布させ、当該報道機関や当該記者のみならず、一般市民による一般的な言論活動の萎縮も招きかねません。

 今回の宮崎市による宮崎日日新聞社に対する抗議は、社を通じての編集に関する事実確認を経ないまま、突然記者個人の名前を前面に押し出しました。新聞労連と宮崎日日新聞労働組合は、今回の宮崎市の抗議手法を言論に対する威圧的な行為と受け止め、宮崎市に対し強く抗議します。

2021年2月26日
日本新聞労働組合連合(新聞労連)
中央執行委員長 吉永磨美
宮崎日日新聞労働組合
執行委員長 戎井聖貴

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