著作物再販制度に関する公取委決定についての見解

 公正取引委員会は、著作物の再販制度について見直しを進めてきた結果、「当面は著作物の再販制度を存続する」との結論に至った。日本新聞労働組合連合(新聞労連)は、今回の結論が妥当な判断であり、読者の利益にかなうものと考える。再販制度をめぐる存廃の論議に一つの区切りがつけられ、新聞の再販制度が維持されたことを評価する。

 新聞労連はこれまで、再販を戸別配達制度の存続、良質な新聞報道の維持、言論の多様性と国民の知る権利の確保のために欠かせない制度とする見解に立ち、再販制度維持を求める10万人署名などの運動を進めてきた。また、公取委に対しては、新聞を市場競争の原理にさらすことは、経済効率だけを優先し文化・公共面を無視した考え方であると訴えてきた。

 その意味で公取委が今回、「新聞の戸別配達制度が衰退し、国民の知る権利を阻害する可能性があるなど、文化・公共面での影響が生じるおそれがある」との意見を尊重し「制度の廃止について国民的合意が形成されるに至っていない状況にある」としたのは、広く理解が得られる考え方であろう。再販維持を求める運動の成果もけっして小さくなかったと考える。

 ただし、公取委は競争政策の観点から「今後とも著作物再販制度の廃止について国民的合意が得られるよう努力を傾注する」としている。新聞人は引き続き労使を問わず、再販の重要性を市民に訴え続けるとともに、自らも制度に安住しているとの批判を招かぬよう努力すべきである。

 全国紙を中心とする新聞社は今後、長期購読者に対して価格面でのサービス制度を打ち出すとみられる。しかし、読者が新聞に求めているのは価格割引や景品ばかりではない。新聞販売の勧誘などへの苦情は減らない一方、人権への配慮を欠いた報道に対する批判もくすぶり続けている。こうした新聞に対する読者の不信感が、表現・報道の自由を脅かしかねない法律を準備する政府・自民党などへの追い風になっている。きわめて深刻な事態である。

 新聞経営者はこれを機に、新聞に対する信頼が揺らぎ始めている現実にきちんと向き合い、読者はたんなる顧客ではなく、新聞に厳しい目を向ける市民であると認識すべきである。再販という「特権」が残された以上、今後は経営情報を公開するなど読者に最大限の説明責任を果たす必要があるだろう。

 新聞労連は今後、販売正常化などの運動を進める際、労働組合の枠にとらわれず、読者との対話や連携に力を入れていきたいと考える。私たちは、そうした試みが新聞に対する信頼を確かなものとし、消費者利益にかなった再販制度の維持につながる道であり、ひいては市民社会の発展にも寄与すると確信している。

2001年3月26日
日本新聞労働組合連合
中央執行委員長 畑 衆

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