イラク特措法案の即時廃案を求める緊急アピール

 小泉政権の暴挙が、またもや市民の意見を無視して押し進められようとしている。政府が13日、国会に提出した「イラク復興支援特別措置法案」は、国連憲章違反のイラク戦争の本質を問う論議をなおざりにし、今も戦闘行為が続発する地域に自衛隊を送り込むという市民を震撼させる内容だ。一体、大量破壊兵器はどこにあるのか。政府は正当性のない戦争を支持するだけでなく、米国に追従して自衛隊を米英軍の後方支援に派遣するというのか。これでは、米国の前にひれ伏す「腰抜け」の政府と言わざるを得ない。私たちは、この法案に断固反対する。

 小泉首相は大量破壊兵器の未発見問題について11日の党首討論で、「フセイン大統領が見つかっていないから、イラクにフセイン大統領がいなかったと言えますか」「大量破壊兵器も私はいずれ見つかると思う」などと答えて失笑を買い、底の浅さを露呈した。これが一国の首相の言葉かとあきれるばかりだ。

 一方、福田官房長官は、法案の目的を「中心はイラク復興だ」と強調している。しかし、イラク特措法案はもともと日米首脳会談でブッシュ大統領が自衛隊派遣を「期待した」ことによる。イラクから11日、帰国した調査チームの報告でも、自衛隊のニーズは、燃料や水の補給・輸送、傷病者の空輸などで、まさに米英軍の「後方支援」だ。これでなぜ、家族を失い、傷つき、家を壊されたイラクの人々の復興支援になるのか。

 イラク駐留米軍の司令官は、「イラク全土はまだ戦闘地域であると考える」との見解を示しており、この法案は海外派兵を禁じる日本の憲法に明らかに違反する。武器・弾薬の陸上輸送や、派遣を国会の事後承認にしたことにも、おおいに疑問が残る。

 大切なのは、苦しんでいるイラクの人々に直接、支援の手が届くことだ。国連を中心とした人道援助に力を注ぐべきだ。

 法案の目的も中身もあいまいなのに、無理やり国会を延長して決めようとする、政府・与党のやり方には到底、納得できない。私たちは、憲法違反のイラク特措法案の即時廃案を求める。

2003年6月17日
日本新聞労働組合連合(新聞労連)
中央執行委員長 明珍美紀