自衛官書類送検は「知る権利」を脅かす

自衛官書類送検は「知る権利」を脅かす

2008年3月27日
日本新聞労働組合連合(新聞労連)
中央執行委員長  嵯峨 仁朗

 中国軍の潜水艦事故で新聞記者に情報を流したのは自衛隊法違反(秘密漏洩)にあたるとして、陸自警務隊が防衛省一等空佐を書類送検した。今回、取材記者については立件されなかったものの、報道機関への防衛秘密情報の提供を理由に自衛官が書類送検されたのは初めてのことだ。わたしたち日本新聞労働組合連合(新聞労連)は、今回の送検が取材活動や内部告発への圧力となって「知る権利」を脅かすことにつながるものと強い懸念を表明する。 

 問題とされたのは、2005年5月31日付の読売新聞朝刊の記事で、中国の潜水艦が南シナ海で火災を起こし航行できなくなったことを報じた。わたしたちがそもそも疑問に感じるのは、これが防衛秘密情報にあたるのかという点だ。船舶の火災事故情報は付近の船舶による救助活動などを考えれば、むしろ素早く公表すべき情報ではないだろうか。にもかかわらず、警務隊は強制捜査に乗り出し一等空佐を書類送検した。これでは、今後「防衛秘密」を名目に、その枠をあいまいのまま拡大させていき、自分たちにとって不都合な情報を隠したり、広く知るべき事実を国民の目から遠ざけたりするのではないか。そんな不安はぬぐえない。

 イージス艦「あたご」衝突事故の際に、防衛省がいかに国民への情報公開に後ろ向きであるかを見せつけられているだけに、これは決して杞憂ではないだろう。

 そして、権力のベールに隠された国民の知るべき真実を、勇気を持って内部告発する者や取材によって白日の下にさらけだそうとする者には刑事罰を科することになるとの疑念を抱く。今回の送検は、内部告発や取材活動を萎縮させる効果を狙ったものであり、私たちは国民の「知る権利」の危機を感じざるを得ない。

以 上

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