第124回定期大会報告

大会宣言  原点見つめ組織強化を!

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から3年4カ月を経て、被災地では震災の事実が風化してしまうことを懸念する声が高まっています。被災者が不自由な生活を余儀なくされ、原発事故の被害に苦しめられている切実な状況が続く中、反対の根強い原発再稼働が現実味を帯びてきました。安倍政権は特定秘密保護法の制定、集団的自衛権の行使容認など日本の将来を左右しかねない重大な事案を強硬姿勢で推し進め、政府の新しい成長戦略には労働時間規制の見直しが盛り込まれました。国民の不安は増すばかりで、新聞労連は緊急性が高い重要課題として秘密保護法、労働法制の規制緩和、消費税増税問題を3大テーマと位置付け、反対運動などさまざまな取り組みに注力しています。

 労連は7月24、25日の両日、メーンスローガンに「権利を手にするために 労働組合の原点に立ち返ろう」を掲げ、第124回定期大会を東京・晴海で開きました。日比野委員長は大会冒頭のあいさつで、秘密保護法などによって「表現の自由が冬の時代に来ている」と指摘し、労連には声を上げていく役割が社会的に求められているとの見解を示しました。さらに、新聞各社が合理化を進める厳しい環境の中で「個人の受難、一人一人の悩みを取り除く労働活動を広げていく1年にしたい」と呼び掛けました。秘密保護法や集団的自衛権の問題とともに、労働法制の見直しは格差拡大による社会の不安定化に拍車を掛けるとし、一貫して反対していく方針です。消費税増税に対しては、知識課税強化への反対を柱とした見解を発表しており、新聞産業政策研究により力を入れて知恵を結集し、次の一手を検討することを確認しました。

 労連が関わる争議では、報知新聞労組の塚野さん過労死裁判は署名提出やビラ配布、書記官との面談といった要請行動に力を尽くしてきたものの、残念ながら最高裁が上告不受理を決定しました。産経新聞奨学生パワハラ問題は和解に至った一方、他の争議で厳しい闘いが続いています。宮古毎日新聞社では契約社員の組合員2人が炎暑の中でのバイク勤務を強いられ、熱中症になって手当てを受ける事態も起こりました。労組が沖縄県労働委員会の調査やあっせんを受けながら労使交渉を求めても、会社側は組合敵視の態度を一向に改めようとしません。ブルームバーグの解雇撤回闘争では、解雇無効とした東京高裁判決が確定しているにもかかわらず、会社側が職場復帰を拒否し新たな裁判を起こして「別件解雇」を主張してきました。UPC(日本外国特派員協会労組)は雇い止めや賃金カットの撤回を求めて東京地裁に提訴し、協会側の不当な対応を問いただしています。山陽新聞労組は夏季一時金で会社側が過去の約束を反故にしたことで、岡山県労働委員会にあっせん申請しました。いずれも経営サイドの極めて不誠実で理不尽な言動、手法に敢然と立ち向かい、労働者の適正な権利を勝ち取るために一層の支援が不可欠な情勢です。
 このほか、労連の財政問題や組織強化への対応を討議しました。歴代の委員長ら3役経験者による「組織・財政問題諮問委員会」は、組合員数の減少で深刻化している財政の健全化には規模拡大を目指すべきとしながら、会費値上げの議論や人件費見直しの必要性を指摘する答申をまとめ、報告しました。人件費見直しの具体策としては、本部書記の一部を常勤役員にすることや副委員長の非専従化を提案しています。持続可能な運営を実現するには加盟単組が軌を一にして取り組まなければならず、嵯峨座長は「先送りしたり、答申の中身をつまみ食いしたりする対応では労連の改革は進まない。重く受け止めてほしい」と強調しました。組織拡大に向けては、労連が加盟100単組を当面の目標として未加盟の単組に働き掛ける「チャレンジ100」プロジェクトの推進を打ち出しており、各地連を中心にすべての加盟単組でしっかり向き合っていく姿勢が求められます。

 今大会で、労連役員は日比野委員長と米倉副委員長の退任に伴い、共同通信労組から新崎委員長、岩手日報労組から高橋副委員長が選任され、2年目に入る大江書記長との新たな3役体制が発足しました。全国役薦委員会の鈴木委員長は、朝日新聞労組から労連委員長ローテーション入りの判断留保は今回解除しないものの「労連執行部を支え、中執における議論にも積極的に関与する」との報告があったと説明し、「各加盟単組が労連のために役割をいかに果たしていくかをあらためて考えなければならない」と訴えました。

 これらを踏まえ、新体制の下で組合の原点を今一度見つめ直して連帯を深め、ジャーナリズム、労働者の権利を守る活動の強化につなげていくことを、ここに宣言します。

2014年7月25日  新聞労連第124回定期大会

新崎委員長(共同)を選出

新崎新体制発足 加盟単組の扇の要に 労連改革の実行を誓う

 新聞労連は7月24、25の両日、東京都内で第124回定期大会を開催した。「労働組合の原点に帰ろう」をメーンスローガンに掲げ、平和と民主主義を守り、新聞産業の危機に立ち向かう新年度方針を決めた。

 役員人事では、日比野敏陽・中央執行委員長(京都)と米倉外昭・中央副委員長(琉球)が退任。執行委員長に新崎盛吾氏(共同)、副委員長には高橋直人氏(岩手)が就任し、書記長は大江史浩氏(西日本)が再任された。

 冒頭、あいさつに立った日比野委員長は、特定秘密保護法などによって、「表現の自由が冬の時代に来ている」と指摘し、「労連には声を上げていく社会的責任がある」と訴えた。

 議事では奄美脱退、2013年度本部活動や財政などの総括に加え、14年度運動方針・予算案、年末闘争方針などが採択された。労連の持続可能な運動体への改革を議論した組織・財政問題諮問委員会の嵯峨仁朗座長(道新)が、議論の結果を答申した。嵯峨座長は、「問題の先送り、答申のつまみ食いでは改革は進まない」と力を込めた。 

 質疑・討論では22人が登壇。本部方針を支持する意見や財政の在り方への提言、地連・単組の活動報告などがあった。総括で大江書記長は、「厳しい時代だからこそ歩調を合わせて前に進もう」と呼び掛けた。

 新崎新委員長は新任のあいさつで、「加盟単組の扇の要になりたい。諮問委員会の答申を実行に移したい」と決意を述べ、団結ガンバローで大会を締めくくった。

 定期大会に先立つ23日の第5回拡大中央執行委員会では、大会議題や運営などを確認した。消費税増税問題についても議論を深め、来期の重要課題にすることを決めた。

 同日、全国役薦委員会(鈴木泰広委員長・毎日)を開いた。朝日(歌野清一郎委員長)は、委員長ローテ復帰の判断留保を今回解除しないものの、「労連執行部を支え、中執会議の議論に積極的に関わる」との見解を示した。