第130回定期大会報告

大会宣言  連帯の輪を広げ 新聞の未来切り拓こう

 新聞労連の旗のもとに集う私たちは、7月20、21の両日、東京・浅草で130回目となる定期大会を開きました。メーンスローガンは「連帯の輪を広げ 新聞の未来切り拓こう」です。それにふさわしく、小林基秀委員長は「まずみなさんに報告したいのは、5年ぶりに新聞労連に新しい仲間を迎え入れることです」と開会のあいさつを始めました。私たちは、5月に結成された愛媛新聞の系列印刷会社「ENPプリント」の労組が、86組目の単組として新聞労連に加盟することを、満場の拍手で承認しました。新たな連帯の輪をさらに広げていかなければなりません。労連はすでに取り組んでいる組織拡大「チャレンジ100」プロジェクトを強化していきます。新たに、組織の拡大や強化のための活動を支援する制度や、2年間の期限付きですが、新規加入する非正規の組合員の加盟費を実質的に半額とする補助制度を始めます。非正規、関連会社の仲間を支え、組織化につなげていきましょう。

 連帯した団結力は闘いの場でこそ発揮されます。支援を続けている宮古毎日新聞労組の争議では、パワハラに対する損害賠償請求訴訟で和解が成立しました。100%満足できる結果ではないかもしれませんが、確かな成果を得たのです。夏季一時金の支給額をめぐる山陽新聞労組の争議では、岡山県労委が申し立てを棄却する命令を出しました。残念な結果ですが、山陽労組はあきらめず、中央労働委員会への再審査請求を決めました。引き続き全面的に支援していきます。すべての争議を闘う仲間と手を取り合っていきましょう。

 私たちは、平和や言論の自由を脅かすものに対しても闘います。大会では、自衛隊を明文で書き込こもうという安倍晋三首相が進める改憲の動きについて、「平和主義を脅かす憲法改悪に反対する」との特別決議を行いました。表現や思想の自由が侵害される恐れがあるテロ等準備罪を設ける法改正に対しては、成立を許してしまいましたが、2度にわたる反対声明を出しました。2016年8月に沖縄県の米軍基地を取材中の記者2人が警察によって拘束、排除されたことへも抗議声明を出しました。今年5月には、記者2人が殺傷された朝日新聞阪神支局襲撃事件から30年にあわせ、「事件を風化させず、言論の自由を守る」という声明を出しました。メディアとしての責務を果たし言論の自由を守り抜きましょう。

 組合員の命と暮らしを守ることも大切な闘いです。昨秋明らかになった電通新入社員の過労自殺という問題は、同じように無理な働き方が常態化している新聞業界で働く私たちに強いショックを与えました。1月の春闘臨時大会では、「ゆとりある職場を目指し働き方を見直そう」と題した特別決議を行い、三六協定の問題点や「インターバル規制」といった対策をあげた上で、「『報道の特性』という先入観を捨て、変えられるところから一つずつ変えていこうではありませんか」と呼びかけました。働き方を見直し「超長時間労働」の是正を求めましょう。

 こうした闘いは、組合員だけでなく、実は、私たちが働く会社が健全な報道機関として存在していくために必要なものです。組合活動を通じ、新聞をつくるという私たちの仕事を、次代を担う若者にとって魅力ある産業へと成長させていきましょう。

2017年7月21日 新聞労連第130回定期大会

小林委員長(道新)を再選

書記長に相川さん(日経新聞労組)、副委員長に大津さん(化学工業日報労組=非専従)を選出

 新聞労連は7月20、21の両日、東京・台東区民会館で2016年度第130回定期大会を開いた。メーンスローガンは「連帯の輪を広げ 新聞の未来切り拓こう」。16年度の活動報告や17年度の運動方針のほか、愛媛新聞の系列印刷会社「ENPプリント」の労組の新規加盟や「平和主義を脅かす憲法改悪に反対する特別決議案」などを承認した。ENPプリント労組は86番目の単組で、労連への新規加盟は5年ぶり。

 18年4月に控えた有期雇用労働者の無期雇用転換に備えるため、非正規組合員を組織化した単組に1人当たり月額300円の補助金を2年間に限って支給し、現行600円の労連会費を実質的に半額にする提案も承認された。

 争議の現状が報告され、宮古毎日新聞労組のパワハラ訴訟で2月に和解が成立、原告2人のうち1人が4月から正社員に登用され、1人が退職した。山陽新聞労組の一時金を巡る救済申し立ては、岡山県労働委員会が6月に棄却し、組合側は中央労働委員会(東京)に再審査を申し立てた。

 ユニークな活動で組合活性化に取り組んだ単組を表彰する組合活動企画賞が発表され、今春闘で「連続7日間以上の休日・休暇取得制度の創設」を統一要求として掲げ、社から前進回答を引き出した新潟日報など4労組や、「東日本大震災の教訓をつなぐ会」を定期開催した岩手日報労組など6件、計9単組が受賞した。

 役員人事では、日暮耕一副委員長(千葉日報労組、非専従)と高森亮書記長(神戸新聞・デイリースポーツ労組)が退任。新たに大津昭浩副委員長(化学工業日報労組、非専従)と相川和男書記長(日経新聞労組)が就任した。16年度に始まった副委員長非専従化の課題について、高森氏は「情報の共有に温度差ができた」と指摘した。また、田中広喜書記が早期退職制度を利用し、18年9月に退職することが報告された。

 小林基秀委員長はENPプリント労組の設立について「会社側と交渉するツールを持って、しっかり訴えることができたというのは素晴らしいことだ。新聞労連もこれから全面的に支えていきたい」と表明。また、犯罪を計画段階で処罰する共謀罪に関し「(監視社会に陥る)危険性があると言い続けるのが仕事だ」と述べ、社の経営のみならず権力の監視役としての労組の重要性も強調した。最後に、相川新書記長の団結ガンバロー三唱で締めくくり、連帯を確認した。