秘密保護法の廃止を強く求める

秘密保護法の廃止を強く求める

2013年12月9日
日本新聞労働組合連合(新聞労連)
中央執行委員長  日比野 敏陽

 特定秘密保護法案(秘密保護法案)は12月6日深夜、自民党と公明党によって強行可決された。憲法に明らかに違反し、根本的な欠陥があるにもかかわらず、十分な審議もなく強引に可決された。「良識の府」であるはずの参議院の強行採決は憲政史上に残る暴挙だ。新聞労連は安倍政権と与党の卑劣な行いに対し強く抗議するとともに、本日から秘密保護法の廃止を求める運動に取り組むことを宣言する。

 秘密保護法には報道への「配慮」条項が入っているが、配慮するかどうかは当局の胸先三寸である。秘密指定も密室で行われる。新聞記者が秘密に接触しようとしただけで処罰対象になる構造がある限り配慮規定は機能しない。新聞労連が加盟する国際ジャーナリスト連盟(IFJ)も「ジャーナリストを好きなように起訴できる可能性を政府に許すいかなる法律も、非難されなければならない」と批判している。

 国の情報は主権者である国民のものであり、一部の政治家や官僚のものではない。ところが、秘密保護法は政府が恣意的に情報を秘密指定でき、永久に非公開にすることも可能にした。行政が情報を統制し司法や立法府に対して突出した力を持てば、それは独裁国家だ。安倍首相は国会の終盤に秘密指定をチェックする機関の設置を持ち出したが、身内の官僚で固める組織に過ぎず、おためごかしもはなはだしい。

 一方、新聞の経営者団体である日本新聞協会はこの間、法案に対し「強い危惧」を表明したに過ぎず、事実上、何もしてこなかった。国会審議で法案の欠陥が次々と明らかになったにもかかわらず、新聞協会は何の発信も行わなかった。新聞協会の姿勢は、新聞業界に対する読者・国民の不信感を増幅させ、その価値を損ねているといえよう。極めて許しがたい行為だ。

 法が施行されたとしても、新聞労働者はひるまない。読者・国民に知らせなければならない情報は何が何でも知らせる、という気概は法の成立で失われることはない。仮に秘密保護法による弾圧があれば、新聞労連は一致団結して闘うだけである。

以上