「スラップ訴訟」めぐり石橋記者を支援、神奈川新聞社にも要請

  ヘイトスピーチを批判した記事をめぐり、川崎市議選に立候補した佐久間吾一氏から「名誉毀損」などと訴えられた神奈川新聞の石橋学記者に対し、新聞労連は1月22・23日の臨時大会で支援する方針を確認した。

 石橋記者は2019年2月、川崎市議選に立候補予定だった佐久間氏が「旧日本鋼管の土地をコリア系が占領している」「共産革命の橋頭堡が築かれ、今も闘いが続いている」と発言した川崎市内での講演内容を「悪意に満ちたデマによる敵視と誹謗中傷」と報じた。この報道に対して、佐久間氏は同年、「名誉棄損」や「侮辱」にあたると主張して横浜地裁川崎支部に石橋記者個人を提訴した。

 石橋記者は23日の臨時大会で、ヘイトスピーチや差別と闘う弁護士や市民、全国の記者らの支援が集まっていることに感謝。「川崎市では全国で初めてヘイトスピーチに刑事罰を科す条例ができて、ヘイトデモをやりにくくなっている。そうした中でレイシストは自由に発言できる法廷の場を選んできている。今のところ、裁判を起こすのを止める術がないが、『裁判を起こして失敗した』と思わせることが大事だ。ヘイトと闘う運動の連帯の輪がより広がることを示さないといけない」と訴えた。

 今回の訴訟は、記者本人を狙い撃ちにしたたもので、神奈川新聞社は入っていないが、新聞労連は1月28日、同社に石橋記者を支援するよう要請した。要請内容は以下の通り。

■神奈川新聞社への要請内容(要旨)
 緻密な取材と倫理観に基づき、差別発言の本質を毅然と指摘した石橋記者の記事は、事実に立脚する優れた論評でした。その記者を狙い撃ちした本件訴訟は、「言論の自由」「真実・公正な報道」に対する攻撃であり、不当なスラップ訴訟にほかなりません。
 訴訟では、石橋記者の姿勢に共感する弁護士が手弁当で弁護団を結成。口頭弁論には、多くの市民が傍聴に訪れるなど支援の輪が広がっています。
 今回の訴訟の被告に神奈川新聞社は入っていませんが、記事掲載の責任が会社にあるのは言わずもがなです。また、記者個人を狙い撃ちにした不当な訴訟提起に対して会社が毅然とした対応を取らねば、全国の現場で差別をはじめとした社会の不条理を掘り起こし、伝えようと奮闘している記者たちの委縮にもつながりかねません。
 神奈川新聞社には、原告への抗議表明や裁判の不当性を検証する紙面展開、石橋記者への物心両面の支援を強く求めます。
 新聞労連も、全国の加盟組合員2万人によるカンパや傍聴支援などに取り組みます。石橋記者に対する不当なスラップ訴訟をはね返すことは、労使一体となって取り組むべき課題と考えます。神奈川新聞社の積極的な対応を強く望みます。

第3回口頭弁論が行われた2020年1月28日の報告集会で話す石橋学記者(左)

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