労連声明:NHKの自主・自律の放送を守るために(10月10日)

 

NHKの自主・自律の放送を守るために

 かんぽ生命保険の不適切販売を報じたNHKの「クローズアップ現代+」をめぐり、日本郵政グループの抗議を受けて、番組続編の放映が見合わされたり、視聴者にツイッターで情報提供を呼びかけた動画が削除されたりしたことが明らかになりました。この番組は、高齢者を中心に不適切な販売を巡るトラブルに巻き込まれている事態に警鐘を鳴らすものでした。放映内容を受けて、自らの組織で起きている問題を直視するどころか、総務次官経験者の幹部らが抗議や取材拒否に走り、番組に圧力をかけた日本郵政の対応は、「報道の自由」と市民の「知る権利」を著しく侵害するものであり、容認することはできません。

 一連の問題のなかで、見過ごすことができないのは、NHK経営委員会(石原進・経営委員長)が上田良一NHK会長に厳重注意を行ったことです。放送法第32条で禁止している個別の番組編集への関与に抵触しかねない行為です。経営委員の説明によると、意見が割れて経営委員会としての議決もしなかったにもかかわらず、注意に踏み切っており、放送法第41条で経営委員長に義務づけられている議事録の作成と公表も怠っていました。

 石原経営委員長は「視聴者目線に立った」と説明していますが、視聴者を含めた市民に深刻な被害をもたらした事象を報道し、社会と共有する姿勢にこそ、視聴者目線が意識されるべきです。NHKの職員でつくる日本放送労働組合(日放労)が9月27日の中央委員長見解で、「一般の『視聴者目線』からすれば、経営委員会に直接訴える回路を持ち得ていれば、NHKに影響を強く及ぼしうる可能性があるとの疑念を抱かれかねない」と指摘していますが、まさに同感です。

 経営委員会は、日本郵政の主張に同調して、NHK執行部のガバナンスを問題視するのではなく、経営委員会自らのガバナンスを改善し、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」(第1条)などを目指した放送法のルールをしっかり守るよう強く求めます。

 また、上田会長をはじめとするNHK執行部には、日本郵政や、放送法を逸脱した経営委員会の要求に対してどのように対応したのかについて、教訓も含めて誠実に語ることが必要です。メディアの自律性に国内外の厳しい視線が注がれるなか、私たち報道機関で働くメンバーは、「報道の自由」を守る不断の努力と、市民に理解を得る取り組みが欠かせません。公共放送を担うNHK職員が不当な圧力に屈することなく、安心して自主・自律の放送に取り組める環境整備を求めます。我々も共に切磋琢磨していきたいと思います。

2019年10月10日 
日本新聞労働組合連合(新聞労連)
中央執行委員長 南  彰

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