新聞労連 第140回定期大会宣言

 新聞労連は7月27日と28日の2日間、第140回定期大会を開きました。大会で掲げたスローガンは、「道は必ず開ける―私たちがつくる新聞の未来―」というものです。吉永磨美委員長はあいさつで「新聞はいま、未来志向のメディアとして動いていく時期です。組合員が自主的に考えて動き、労働組合の本質である個別の事案をみんなの課題にしてエンパワーメントしていく。そんな活動を大事にしたい」と訴えました。

 新聞労連は、新聞産業で働く人たちの雇用、暮らし、そして人権を守ります。

 労連が支援してきた裁判で勝訴判決が出ました。長崎市の幹部への取材中に性被害を受けた記者による損害賠償訴訟です。長崎市が控訴せずに6月に判決は確定し、田上富久市長が原告と面会して謝罪しました。原告は労連の活動について、「男性が多い組合でも性的事案の解決に取り組めるという手ごたえは、労連の努力で獲得できたものです。多くの皆様との連携プレーができたことに原告として望外の喜びを感じます」とコメントしました。

 3月には、新聞労連の有志が「失敗しないためのジェンダー表現ガイドブック」を作成しました。性別に基づく偏見や差別を含む表現の記事や見出しがいまだに見られる、との危機感からです。なぜ労働組合がこの本を出すのでしょうか。とりまとめ役を担った特別中央執行委員の中塚久美子さんは、日航機の墜落事故やJR福知山線の脱線事故を受けて日航やJRの組合が安全の検証に取り組んでいる例を挙げて、この本は「私たちの失敗、インシデント集」と説明してくれました。

 女性役員枠として特別中央執行委員の制度を設けて、全国各地で勉強会を開いています。これらの活動が、2022年1月の第139回臨時大会で採択した新聞労連ジェンダー平等宣言や、今回の「ジェンダー平等と男女が共に安心して働けるための新聞労連統一要求」につながりました。統一要求とは、労連が呼びかけて、仲間の組合が一斉に会社に実現を求めるものです。組合員一人一人が現場で真摯に向き合ってきた課題が、ジェンダー平等な社会を実現するために、社会を動かす原動力になっています。ジェンダーガイドブックもその一環で、増刷され、業界以外にも反響が広がっています。

 ジャーナリズムの最前線で奮闘する仲間とも連帯します。

 新聞業界は暗いトンネルの中を歩んでいます。新聞協会加盟社の発行部数はこの10年で約1475万部減り、10年前の3分の2ほどに落ち込んでいます。アンカーである新聞販売店はコロナ禍の影響で経営がひっ迫し、戸別配達網の維持を含め、業界の存続の危機とも言える状況です。

 我々は、新聞業界は「ビジネスの危機」「信頼の危機」「組織の危機」と三つの危機に直面していると訴えてきました。硬直化した組織であるため、時代に取り残されて信頼を失い、それがジャーナリズムへの逆風にもつながっている、という問題意識です。ジェンダーに配慮して多様性を重んじた業界になるように、労連が率先して変わります。あらゆるハラスメントに対しても、取り組みを強め、仲間から加害者も被害者も出しません。

 北海道新聞の記者が旭川医科大学で取材中に、建造物侵入容疑で逮捕されました。労連として検証チームを結成して、北海道新聞労組の協力を得て調査しました。記者が不起訴処分になった際には、適切な対応をするように北海道新聞の経営陣に求めました。また、ヘイトスピーチを指摘する記事をめぐり「スラップ訴訟」を起こされた神奈川新聞の石橋学記者を支えていきます。

 2月にはロシアがウクライナに侵攻し、想定もしていなかった先進国同士の戦闘が始まりました。7月の参院選では安倍晋三元首相が演説中に撃たれて亡くなる事件も起きました。社会が揺れる時代にこそ、ネットで飛び交う声高な主張ではなくて、新聞の落ち着いた報道が求められています。多様性を大事にして、現場で上がる声、声なき声にも寄り添いながら、悩みを持つ一人一人と向き合うことで、ジャーナリズムの責任を果たしていきます。

 今回、新たな仲間もできました。西日本新聞プロダクツ労働組合が労連に加盟しました。これからもさらに仲間を増やしながら、団結の輪を広げ、トンネルの先の光に向かって、ともに歩んでいきましょう。

 2022年7月28日

日本新聞労働組合連合 第140回定期大会

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取材記者を含む多くの性暴力被害をなくすため、長崎地裁に公正な判決を求めます!