新聞の販売正常化を早期実現するためのアピール

新聞の販売正常化を早期実現するためのアピール

 昨年11月、公正取引委員会が新聞業をはじめとする「特定の不公正な取引方法」を見直しする方針を示して以降、私たち新聞労連はこの「特殊指定」の堅持を訴えてきた。新聞の「同一題号同一価格」を担保してきたのは著作物再販制度と特殊指定だが、この一方が崩れると販売現場が購読料の「値引き合戦」に陥る可能性が高いからだ。値引き合戦で資本力の弱い新聞社は経営が立ち行かなくなり、最終的には少数の新聞だけが残ることになる。戸別配達制度の崩壊にとどまらず多様な新聞、多様な言論が失われ民主主義が足元から揺らぎ始めるのは時間の問題だ。

 新聞労連は今年4月20、21の両日、都内で第115回中央委員会を開き、特殊指定維持に向けた方針と具体的な行動を討議した。特殊指定維持を求めるとともに、ルールを無視した新聞セールスを改め、販売正常化の早期実現が急務とした特別決議を採択した。新聞ジャーナリズムの信頼回復もまた不可欠である。

 「読者市民がこの問題についてどれだけ知っているか」。新聞労連は各地連に協力を仰ぎ「新聞特殊指定・販売正常化」の街頭調査を呼び掛けたところ、市民約500人の意見が全国の各地連から寄せられた。新聞を購読している人は8割を超えているものの、「特殊指定」「再販制度」「公取委の見直し」などを知っている人は3割に満たなかった。新聞各紙が特殊指定について報道し、特集紙面を展開しても市民にはなかなか伝わっていないと言わざるを得ない。この問題への理解を求めていくことの難しさが浮き彫りとなった。

 この調査で新聞に対する意見を求めたところ、紙面や記事内容への要望よりも、強引なセールスや景品提供など販売問題への苦情が圧倒的に多かった。私たちは「新聞は景品提供などではなく、紙面内容で読者が選ぶべき」と主張してきたが、現実は販売現場の問題が大きく立ちはだかっていることを直視しなければならない。

 新聞労連は5月23日、都内で「販売問題中央集会」を開催した。特殊指定だけでなく販売現場の問題に焦点を合わせ、販売正常化早期実現へ向けた議論を展開した。強引なセールスやルールを無視した新聞拡張が、いかに読者・市民の反発を買っているかが明らかになった。私たちの課題は特殊指定維持に理解を得るため読者が一番求める販売正常化の早期実現に取り組むことだ。それとともに新聞の公共性を高めるため「言論・表現の自由」「知る権利」を守る責務を果たし、新聞ジャーナリズムの信頼確立に向けて取り組むことを表明する。

2006年5月23日
日本新聞労働組合連合(新聞労連)
販売問題中央集会