第106回定期大会報告

大会宣言 労連の旗の下、さらなる連帯を

 「新聞を守り、平和と民主主義を守ろう」をメインスローガンに、新聞労連は7月26、27日の両日、東京・お茶の水の損保会館で第106回定期大会を開いた。私たちにとって全く当たり前のことである「新聞を守る」ということをメインスローガンとして置かざるを得ないほど、私たちを取り巻く環境は厳しい。この認識をともにし、連帯していくことからしか、私たちの明日は切り開かれないことをいま、心しよう。

 ここ数年、大手紙で進んだ印刷職場の外部化の波は地方紙・ブロック紙の営業や編集部門にまで押し寄せようとしている。また、長時間・過密労働は深刻さを増し、新人事賃金制度が広がっている。経営側のとめどない合理化攻勢、その真の狙いである「総人件費の抑制」は新たな局面に入ったといえる。こうした流れは、私たち新聞をつくるために働く者の、いのちと健康を脅かし、あるいは、私たちが目指すゆとりある暮らしをないがしろにすることに直結する。断固として許せない。許せないのだが、この流れを食い止めるのは口で言うほど容易ではないことを、私たちはすでに身をもって経験してきた。私たちはこれまでに味あわされてきた働く者としての痛切な思いを糧に、経営の論理を乗り越える論理を速やかに手にしなければならない。そして、その論理を行動に移していくべく、最新の情報と率直な意見の交換をこれまで以上に活発にしていこう。

 ただ、合理化攻勢は「小状況」にすぎないのかもしれない。経営側の合理化攻勢と切っても切れない、その背景にある「中状況」への対応もまた、つねに視野におかなければならないだろう。いつ再燃するかもしれない再販問題、取りざたされ始めている消費増税、新媒体の拡大とその反射としてのメディア界における新聞の相対的な地位の低下、取材手法や経営判断のミス、過当な販売競争などに端を発する読者ならびに市民からの厳しい視線などがその典型だろう。いずれの課題への対応も一朝一夕にはいかないが、これらもまた、私たちが連帯してことにあたるところからしか始まらないことだけは確かだ。


 そして、最も大切なことは「大状況」への対応だ。戦後60年。私たちがまがりなりにも培ってきた平和主義、国民主権、個人の尊重などの憲法の基本的理念が揺らいでいることは否定のしようがない。自衛隊のイラク派遣、改憲論議の台頭、有事法制化はいうに及ばず、ビラまき逮捕の連発、メディア規制を含む人権擁護法案提出の動きなど、事例の列挙にいとまがない様相だ。私たちのよって立つ最大の基盤は、自由で民主的な社会であり続けるということ、その一点だという自覚を新たにしよう。そして、真実を報道する新聞をもっと強くしよう。ともに大いに語ろう、大いに行動しよう。

 連帯すべきは、いまの私たち、内輪の私たちだけではない。私たちのすぐそばにいる、新聞づくりにかかわるすべての人たちに目を配ることも始めよう。それは、きっと、とかく崩れがちと指摘される私たちと読者ならびに市民との連帯感を再生することへの一助ともなるだろう。もちろん、私たちが集う新聞労連という組織の足もとを強く、強く、踏み固めながらでなければならないことはいうまでもない。今大会で、美浦委員長は「今こそ労働組合の権利を正しく行使して輝かせ、強い新聞を作っていこう」と呼びかけた。労連の旗のもと、さらなる連帯によってこの言葉に真の輝きを与えよう。