産経新聞ソウル支局長への捜査を懸念する声明
2014年10月3日
日本新聞労働組合連合(新聞労連)
中央執行委員長 新崎 盛吾
産経新聞の加藤達也ソウル支局長(当時)が8月に執筆した朴槿恵大統領の動静をめぐる記事が、名誉毀損にあたる疑いがあるとして、韓国の検察当局が捜査を続けていることに、新聞労連は取材と報道の自由を守る立場から強い懸念を表明する。
産経新聞は、旅客船セウォル号が沈没した日に朴大統領が男性と会っていたとのうわさがあるとの内容の記事を、8月3日付でウェブサイトに掲載。市民団体から告発を受けた検察が、8月に加藤支局長から2回事情聴取したほか、10月2日にも出頭を求めて聴取したと報じられた。法相による出国禁止処分も延長が繰り返され、加藤支局長は約2か月間出国できない状況に追い込まれている。
そもそも大事故が起きた時の国のリーダーの行動は、報道機関が当然取材すべき国民の関心事であり、憲法で表現の自由が保障されている日本で刑事事件になることは考えづらい。韓国に独自の法体系があるとしても、取材と報道の自由に抵触する今回の事態は、ジャーナリズムの国際基準から考えて、きわめて特異なケースといえるだろう。
産経新聞労組は1961年に新聞労連を脱退しているが、新聞労連としては全ての新聞労働者の取材活動に大きな影響を与える問題だと認識している。韓国の政府・検察当局には、一刻も早く加藤支局長への捜査を取りやめて行動の制限を解き、民主主義国家として取材と報道の自由を保障する姿勢を確認するよう強く求める。
以上