戦争法案」の即時廃案を求める
2015年6月24日
日本新聞労働組合連合
中央執行委員長 新崎盛吾
自衛隊の海外活動拡大を可能にする安全保障関連法案(戦争法案)を審議している国会の会期が、与党側の一方的な事情で9月27日まで延長された。「国民に丁寧に説明した」というアリバイをつくり、大多数の「反対」の声を踏みにじるための方策であれば、絶対に認める訳にはいかない。
法案には、さまざまな立場から「憲法違反」との指摘が相次ぎ、「今国会で成立の必要はない」「慎重に対応すべきだ」などと、拙速な審議を疑問視する声が挙がっている。新聞やテレビ各社の世論調査でも「反対」が多数を占め、安倍政権が「国際情勢の変化」を理由に成立を急ぐのと反比例するかのように、内閣支持率も下降している。新聞各紙の中でも、地域住民の意見を特に重視する地方紙で、法案の問題点を指摘したり政府の姿勢を厳しく批判したりする論調が目立つのは、全国に不信感が広がっている表れだろう。国民の意思は明らかに示されており、戦争法案は即時廃案にすべきだ。
法案の法的根拠となる昨年7月の集団的自衛権の閣議決定による容認も、多くの憲法学者や内閣法制局の長官経験者らが「違憲」だと指摘した。6月4日の衆院憲法審査会では、自民党が推薦した憲法学者までが同様の見方を示したが、与党幹部は「憲法の番人は最高裁であって憲法学者ではない」と発言。圧倒的な数の論理を背景に、さまざまな意見に耳を傾ける政治家の基本的な姿勢すら忘れ去ってしまったかのようだ。
これまでの国会審議でも、安倍首相をはじめとする閣僚の不誠実な答弁が目立った。閣僚同士の見解にも食い違いがみられ、国民の理解は全く進んでいない。歴代の自民党政権でさえも長年認めなかった集団的自衛権を、閣議決定だけでひっくり返した昨年7月の暴挙から始まり、戦争法案の成立に向かって突き進む安倍政権の国会運営を許してはならない。
昨年12月に施行された特定秘密保護法も、この戦争法案と同一線上にある。自衛隊の海外派遣や武力行使を判断するために必要な情報が、「防衛」「外交」などの分野で特定秘密に指定され、国民に知らされない危険性が増している。「戦争は秘密から始まる」のだ。
新聞労連は、先の戦争に新聞が協力を余儀なくされた反省を基に「戦争のためにペンをとらない、カメラを持たない、輪転機を回さない」と誓い、平和と民主主義を守る活動に取り組んできた。その平和と民主主義が脅かされる今こそ、全国の新聞産業の仲間に「平和のためにペンをとろう、カメラを持とう、輪転機を回そう、そして平和をうたう新聞を届けよう」と呼び掛け、戦争につながる動きには断固として対峙していく。
以上