MIC声明・日本人人質の即時解放を求める
2015年1月21日
日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)
議長 新崎 盛吾
シリアやイラクで勢力を拡大する「イスラム国」を名乗るグループが20日、フリージャーナリストの後藤健二さんら2人とみられる日本人を人質に取り、72時間以内に身代金2億ドルを支払わなければ殺害すると警告する映像をインターネット上に公表した。
人命と引き替えに金銭を要求する卑劣な行為は、いかなる理由があろうとも絶対に認めることができない。ジャーナリストを標的にすることは、国際社会で最大限の価値を認められている言論や表現の自由への著しい侵害でもある。私たちはマスコミ・文化・情報の現場で働く立場から、犯行グループに対して、2人の命を奪うことなく一刻も早く解放することを強く求める。
一方で今回、日本人が狙われたという事態は、重く受け止めなければならない。一昔前まで、アラブの人々は一般的に親日意識が強いとされていたが、イラクに自衛隊が派遣された2004年ごろから、日本人への視線が変容してきたように感じる。イスラム国対策として約2億ドルの支援を表明した安倍晋三首相の中東歴訪のタイミングに合わせ、映像が公表されたことからも、人質事件が日本政府の態度と無関係とは言えないだろう。
イスラム教の教えは本来、命や平和を尊ぶ考え方だと理解している。私たちはジャーナリズムの原点として、あらゆる暴力と戦争に反対する立場を確認するとともに、平和的な手段で解決が図られることを望んでいる。
安倍政権が海外の邦人保護を名目に、さらなる軍事力強化や自衛隊の積極的な海外進出を図るのであれば、日本国民の生命への危険性はさらに高まる。犯行グループの要求を無条件に受け入れる必要はないが、政府には人命最優先の考え方に基づいて、最大限の努力を求めたい。