第128回定期大会報告
大会宣言 組合活動の原点貫き、言論の自由守り抜こう
新聞労連は7月20、21日の両日、東京・浅草で「組合活動の原点貫き 言論の自由守り抜く」をメーンスローガンに、第128回定期大会を開きました。新崎盛吾委員長は、大会冒頭のあいさつで、朝日新聞の一連の問題への非難や沖縄地元2紙に対する「つぶさないといけない」発言、政権に批判的なテレビのコメンテーターの相次ぐ降板など、メディアへの圧力が表面化した出来事を挙げた上で、「こういう時だからこそメディアの労働組合として盾となる役割を果たしていかなければならない」と訴えました。
4月に来日した国連のデービッド・ケイ特別報告者は日本の報道について「萎縮している」と指摘しました。ケイ氏の言葉通り、会社が社員の社外での言論活動を規制しようとする動きが出るなど、明確な外部の圧力がなくても、メディアが萎縮し、忖度し、自主規制する傾向が強まっています。
憲法21条が「言論・表現の自由」を手厚く保障しているのは、この自由を制限し、市民の知る権利を侵害したことが国民を戦争に駆り立てたことへの反省からです。安倍政権は、秘密保護法を施行し、集団的自衛権の行使を容認。7月の参院選の結果、改憲勢力が衆参ともに議席の3分の2を占め、改憲の国会発議が可能な状況になりました。言論・表現の自由や平和と民主主義を脅かす動きに対し、新聞労連とそこに集う新聞人は、萎縮、忖度、自主規制をせずに、明確に反対の声を上げていきます。
新聞やメディアに関わる労働者を守る活動にも取り組みます。労連が支援する争議では、ブルームバーグによる記者の不当解雇をめぐる訴訟で、解雇を撤回し、解決金を支払うという勝利的和解が成立しました。UPC(日本外国特派員協会労組)の組合員らに対する外部委託に伴う雇い止め、賃金カットをめぐっても、都労委で解決金の支払いを含む和解が成立しました。一方で、組合員を狙い撃ちにした雇い止めや労働条件の不利益変更、配転、パワハラなどが続く宮古毎日新聞労組、一時金支給に関する「労使合意違反」をめぐる山陽新聞労組の争議では、会社の不誠実な態度が続いています。経営側の理不尽な対応に直面して苦闘する仲間たちを、私たちは今後も全力で支えていきます。
労連の組織を持続可能にするための改革には、一定の進展がありました。14年夏に出された「組織・財政問題検討委員会」の答申をもとに、副委員長の非専従化や財政健全化基金の創設のほか、様々な経費削減への取り組みが進められてきました。書記の処遇見直しにまで踏み切らざるを得なかったことは苦渋の選択ではありますが、組合員の減少が予測される中、今後10年は財政を維持できる見通しとなりました。もちろん、組織拡大に向けて、各地連・単組が引き続き「チャレンジ100」プロジェクトや非正規社員の組織化に向けた取り組みを強力に推し進める必要もあります。
大会では、新崎委員長、塚田朋弘書記長、奥田孝吉副委員長の労連三役がそろって退任となり、代わって北海道新聞労組から小林基秀委員長、神戸新聞デイリースポーツ労組から高森亮書記長、千葉日報労組から日暮耕一副委員長が選出されました。また、新設の書記次長には、加藤健、伊藤明弘両書記が選ばれました。新たに専従二人体制となり、加盟単組はこれまで以上にしっかりと執行部を支える必要があります。一方、委員長ローテーションについては、次期18~19年度を担う予定の朝日新聞労組が、判断留保を解除する方針を表明しました。
4月に発生した熊本地震では、熊本日日新聞労組に対し、各地連や単組がカンパなど次々に支援に動き出しました。5年前の東日本大震災の時と同様に、新聞に関わる労働者同士が支え合う、組合の絆の強さを確認できました。
新聞業界は長く構造不況に陥っており、明るい兆しは見えません。ただし、経営不振のツケを現場で奮闘する労働者に安易に押しつける不利益変更は認められません。労連を通じて一層連携し、知恵を共有して、会社に対抗していきます。
言論・表現の自由を守り、平和と民主主義を支える新聞の使命は、今後ますます重要性を増していきます。組合活動を通じ、私たちの働きがい・働きやすさの向上を追求し、団結と連帯の力をもって、この難局を乗り越えていく決意を、ここに宣言します。
2016年7月21日 新聞労連第128回定期大会
小林委員長(道新)が新任
書記長に高森さん(神戸新聞デイリースポーツ労組)、副委員長に日暮さん(千葉日報労組=非専従)、書記次長も新設し2人を選出
新聞労連は7月20、21の両日、東京都内で第128回定期大会を開催した。「組合活動の原点貫き 言論の自由守り抜く」をメーンスローガンに掲げ、新聞産業を守り、共謀罪反対など言論の自由と民主主義を守る新年度方針を決めた。
新聞労連は7月20、21日、東京都台東区民会館で201年度第128回定期大会を開いた。「組合活動の原点貫き 言論の自由守り抜く」をメーンスローガンに掲げ、1年間の活動報告や16年度の運動方針、副委員長の非専従化や書記次長新設などの組織改革案のほか、書記の処遇見直しチームの最終答申などを承認した。
役員人事では、中央執行委員長は新崎盛吾氏(共同)が退任し、小林基秀氏(道新)が新たに選出された。奥田孝吉・中央副執行委員長(山形)と塚田朋弘・書記長(新潟)が退任し、新たに中央副執行委員長に日暮耕一さん(千葉日報)、書記長に高森亮さん(神戸デイリー)が選出された。今期から持続可能な新聞労連にするための労連改革の一環として、新聞労連本部役員に書記次長職を新設。新聞労連本部書記から加藤健(新聞通信合同ユニオン)、伊藤明弘(関西新聞合同ユニオン)をそれぞれ書記次長に選出した。