「しんぶん販売考」第2話

「しんぶん販売考」第2話

特殊指定(下) 論議は不毛 後味悪い決着

▽政治決着?

 「存続を求める新聞業界との議論に進展がなく、各政党からも存続するよう要請を受けたため、今回は結論を出すのを見合わせたい」。昨年6月、公正取引委員会は新聞特殊指定見直しの見送りを明らかにした。見直し方針発表から約7カ月。淡々としたコメントの中に“政治圧力”に屈した悔しさがのぞく。
 対照的な光景があった。同年10月、都内で行われたJC新聞部会の会合。自民党の特殊指定問題プロジェクトチーム座長だった高市早苗氏が講師として招かれ、公取委の動きに対抗して新聞の特殊指定を議員立法化しようとした経緯を説明し、こう言い放った。「もし公取委が変な動きを見せれば即座に(議員立法を)提出する」。
 見直し撤回を新聞業界は歓迎しながらも、政治と一体となった決着に後味の悪さを指摘する声は業界内でも少なくない。一つは「政治家に借りをつくってしまい、ペンが曲がらないか」との指摘だ。そしてもう一つ。宅配制度の必要性ばかりを強調した紙面展開をし、本質的な反論が十分にできたのか、ということだ。
 特殊指定とは①新聞発行本社や販売店が地域などによって違う価格設定、値引きなどを行うこと②発行本社による販売店への押し紙-を禁止するもの。公取委の主張は明確だ。「そのルールが守られていないのではないのか、守られていない規則を維持するのは意味がない」。
 新聞労連は昨年3月と5月の2回、公取委に存続を求める要請を行った。その時、公取委の担当者は「新聞協会や日販協がいまの販売実態の説明を回避するので、議論が噛み合わない」と指摘した。新聞業界は活字文化の保護を主張するばかりで、販売の現状に言及しようとしないというのだ。

▽議論は尽くされたのか

 確かに読者アンケートでも新聞宅配制度の維持を希望する声は圧倒的だ。一方で、ネット上では新聞各社の大キャンペーン紙面に「権益維持のためなりふり構わない報道姿勢」などと揶揄するものも少なくなかった。
 新聞労連は①販売現場の混乱②販売業者と新聞社の生き残り競争③地方の混乱④乱売合戦で失われる読者の信用―の観点から特殊指定維持の姿勢を表明したが、あわせて読者から理解を得るためにルールを遵守する販売正常化の必要性を強く訴えている。
販売競争の果てに自ら公取委にすがった業界の部数第一主義の体質が改まったとは思えない。特殊指定が存在しているから何とか産業全体の秩序が維持され、多様な言論が担保されているという現実に、私たちは目を向け続けなければならない。

【労連副委員長・小関勝也】※新聞労連機関紙2007年2月号より

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