自衛隊の市民監視に抗議する

自衛隊の市民監視に抗議する

2007年6月7日
日本新聞労働組合連合(新聞労連)
中央執行委員長  嵯峨 仁朗

 陸上自衛隊情報保全隊が、自衛隊のイラク派遣に反対する団体、個人の活動について情報収集し、記録していたことが明らかになりました。この中には新聞記者の取材活動までも含まれていました。こうした情報収集・監視は情報保全隊の任務を大きく逸脱し、市民の表現・言論の自由、報道の自由を侵害するものであり、強く抗議します。

 そもそも情報保全隊は機密情報の漏洩を防ぐのが任務で、「不当に秘密を探知しようとする行動」「基地、施設などに対する襲撃」「業務に対する妨害」などを防ぐための情報収集活動も含まれるとされています。スパイ活動やテロリスト集団に備えるという任務を完全に否定するものではありません。今回の一連の行動は「隊員が動揺しないように、家族に不安が生じないように」(守屋防衛事務次官)対処したものと説明しています。

 しかし、A4判で166ページにも及ぶ調査資料の中にある団体、個人の活動のほとんどが、どう見ても自衛隊の任務を妨害したり、攻撃したりする組織・行動に思われません。中には高校生たちが行った派遣反対集会や、派遣とは関係ない消費税引き上げ反対集会までも記録されています。私たち新聞労連の仲間(新聞労連北海道地連)が2004年2月、札幌で行った「イラクへの自衛隊派遣を考える集会」も調査対象となっています。新聞労連は全国の新聞社で働く者たちでつくる唯一の産業別組合であり、言うまでもなくスパイ活動は行っていません。

 呆れたことに、調査資料では、新聞記者が派遣部隊の出発を受けて地元の駐屯地前で隊員を取材したことを「反自衛隊活動」と決めつけています。国民の意見が分かれるイラク派遣が実際に始まる中で、自衛隊員たちの心境を聞き伝えることで国民の判断材料にしてもらおうという取材は、賛否の立場を超えてジャーナリズムとしてごく真っ当な活動です。どうしてそれが「反-」なのでしょうか。

 一般市民の自由な意思表現の場が、国民の「知る権利」の負託に応えようとする記者たちの取材が、武力を持つ巨大組織に知らぬ間に監視・記録され、反自衛隊か否かの「レッテル」まで貼られている-。とても不気味なものを感じてしまいます。

 国民を守るべき自衛隊が、時の政権の政治方針を守るための「目」となっているとしたら、民主主義を大きく揺るがすものです。政府と自衛隊に徹底した調査と事実解明を強く求めます。

以 上

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