【特別決議案①】「自由にもの言える社会」守ろう スパイ防止関連法に反対を
いま、表現・言論・報道の自由が危機に瀕している。高市政権はスパイ防止関連法の整備や国旗損壊罪の創設などを強引に進めている。
スパイ防止関連法を巡っては第1弾となる国家情報局法が5月に成立した。国家情報局は、インテリジェンス(情報活動)の司令塔機能強化に向け内閣に設置される「国家情報会議」の事務局となる組織で、各省庁に情報提供を要求できる。集める情報は安全保障やテロ防止、外国によるスパイ活動などだ。
テロの防止や戦争・紛争などを回避するため、政府に適切な情報が集まる仕組み自体は必要だが、私たちが懸念するのは個人情報を含む幅広い情報が集まる国家情報局に対する歯止め、監督機能がないことだ。さらに言えば公安警察や公安調査庁、自衛隊の情報保全隊など既存の情報機関に対する監督機能もない。これまでも情報機関による情報収集が違法だと判断されたケースは数多い。例えば岐阜県の風力発電事業を巡り、岐阜県警が勉強会を開いた住民らの個人情報を収集し事業者側に提供した「大垣事件」では、名古屋高裁が2024年、情報収集を「憲法の集会・結社・表現の自由などの保障に反することは明らかだ」として、違憲・違法と断じた。
私たちの個人情報を含む膨大な情報が政府に一元化されるにもかかわらず、時の政府の恣意的な運用を防ぐ歯止めがない。市民監視が強まり、表現の自由や言論の自由の萎縮につながりうる。ジャーナリズムに携わる私たちは国家情報局の運用を厳しく監視していく必要がある。
政府が第2弾として準備している外国代理人登録法は、スパイ防止関連法の「本丸」といえる。外国政府のために日本国内でロビー活動をする場合に登録を義務付ける法律だが、国内外のメディアによる海外の事象に関する報道が「スパイ行為」とされかねないばかりか、社会にはびこる排外主義をさらに深刻にさせてしまう。市民団体や労働組合が外国と交流する場合の萎縮効果も予想される。第3弾である「対外情報庁」は日本版CIAとされ、専門の公務員が海外で諜報活動をすることを可能にするものだ。
第2弾、第3弾の法案も、表現の自由の侵害に対する歯止めや、海外での諜報活動に対する外部による監督機能が設けられるかは不明で、市民の人権や平和主義を脅かす恐れがある。拙速に作って良い法律ではない。新聞労連の仲間たちはスパイ防止関連法に関する学習会を重ねてきた。今後も引き続き批判的な視点を交えて学びを深め、危うさのあるスパイ防止関連法に反対していこう。
また、高市政権は「国旗損壊罪」法案も数の力をたのみ、成立させてしまった。表現の自由を著しく侵害する法律であり、識者からも「違憲の可能性が高い」との意見が相次いでいる。日の丸が先の大戦時に戦争推進のシンボルであった歴史を思えば、日本の市民の中に日の丸を大切に思う人ばかりではなく、批判的な思いを抱く人もたくさんいるのは当然だ。広範な表現活動が守られなければならない。
今国会で成立した改正個人情報保護法にも危うい内容が含まれている。今回の改正では、人工知能の開発や統計作成といった用途に限定して規制緩和し、病歴や犯罪歴、人種や信条などの個人情報について企業が本人同意なしに収集できる内容が主に問題視されてきた。
しかし、改正法には「個人情報の不正取得」に関する罰則規定が新たに設けられている。この規定に関して報道機関への適用除外はない。条文には「人を欺く」などの行為により個人情報を不正に取得したときに2年以下の拘禁刑などに処するとある。一見、人をだまして情報入手するのは許されないようだが、この条文に関して国会でもほぼ議論がなされておらず、何をもって「人を欺く」とするのか、明確になっていない。
企業などへの潜入取材はもちろん、いわゆる「オフレコ破り」など、取材先の完全な同意が得られずとも、権力の不正を暴く報道をすることは十分あり得ることだ。条文の解釈次第では正当な取材活動が罪とされる可能性が否定できない。改正法の運用を厳しく注視する必要がある。
新聞労連は、約40年前に「国家秘密法案」に広範な反対運動を繰り広げ、廃案に追い込んだ。四半世紀前には、当時の個人情報保護法案が報道の自由を損ねるとして激しく反対し大幅な改善を勝ち取った。表現・言論・報道の自由は、市民の知る権利に奉仕する使命を担う私たち新聞労働者が活動するための基盤である。だから、こうした自由の侵害にこれまでも抗ってきたし、これからも抗い続ける。「自由にものを言える社会」を守るために、一丸となって闘っていこう。
2026年7月23日
新聞労連・第148回定期大会
