共同声明:市民の疑問を解消する 首相への質問機会を取り戻そう

 新型コロナウイルスの感染拡大防止策の説明として開かれた2月29日の安倍晋三首相の記者会見をめぐり、市民の疑問を解消できない会見の問題点を指摘し、「十分な時間を確保したオープンな首相記者会見」を求めるネット署名を3月5日から呼びかけたところ、わずか1週間で3万人を超える賛同署名が集まりました。

 第1弾として3月12日に2万8185人の賛同署名簿を首相官邸に提出しましたが、1300ページ以上にわたる署名簿は、現在の首相記者会見に対する国民・市民の不信・不満を強く反映した結果です。国内外から追及不足を批判された内閣記者会(官邸記者クラブ)に所属する新聞・通信・テレビの19社にも同様の署名簿を送付しました。

 その2日後の3月14日に開かれた首相会見では、質疑を打ち切ろうとした官邸側に対して、「まだあります」「総理、総理、これ会見と呼べますか」といった多くの声が記者側から上がり、質疑が続行されました。事前の質問通告を拒み、代わりに「質問が尽きるまで会見を行い、フリーの記者も含めて公平に当てるよう求めた」と明らかにする報道機関も現れるなど、一定の改善が見られました。

 しかし、安倍首相は「予定時間」と伝えてきた20分間を上回る21分間も演壇脇のプロンプターに映る原稿を見ながらの冒頭演説に費やしました。主催権は記者会側にあるにもかかわらず、官邸側が質疑者や順番を決め、最終的に質疑を打ち切りました。答弁が不十分でも再質問は慣例的にできず、会見の主導権を官邸側に握られた状態がいまも続いています。

 私たちは今回の署名で、全国の主要な新聞・通信・テレビなどが加盟する独立組織の「日本記者クラブ」を活用して、再質問も行える十分な質疑時間を確保し、雑誌やネットメディア、フリージャーナリストも含めた質問権を保障した首相記者会見を行うよう求め、日本記者クラブにも申し入れました。メディア側の主体性が信頼回復に不可欠だからです。日本記者クラブは3月17日の企画委員会で安倍首相に会見要請することを決めました。安倍首相は早期にこの要請に応じて下さい。そして、日本記者クラブも質疑者を会員に限定せず、オープンな記者会見として実現するよう求めます。

 記者が様々な角度から質問をぶつけ、見解を問いただすことは、為政者のプロパガンダや一方的な発信を防ぎ、市民の「知る権利」を保障するための大切な営みです。それにもかかわらず、2011年3月の東日本大震災以降、日常的に首相が記者の質問に応じる機会がなくなりました。特に例年3月末に新年度予算が成立した後は、首相が国会で説明する機会も急減します。官邸の権限が増大する一方で、説明の場が失われたままという現状は、民主主義の健全な発展を阻害しています。新型コロナウイルス対策に限らず、「桜を見る会」や森友学園問題をめぐる疑惑など、安倍首相に問いただすべき課題は山積しています。視察先での地元記者の質問権の保障を含め、日常的に首相へ質問する機会を復活するよう、政府と報道機関に求めます。

2020年3月18日 
日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)
(新聞労連、民放労連、出版労連、全印総連、映演労連、 映演共闘、広告労協、音楽ユニオン、電算労)
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