委員長談話「読者の信頼に応える災害・事故報道を続けるために」
2024年1月5日
日本新聞労働組合連合(新聞労連)
中央執行委員長 石川昌義
1月1日に発生した能登半島地震は、4日現在で死者84人、安否不明者179人を数える大災害になりました。過疎・高齢化が顕著な被災地では交通網が寸断され、被害の全貌がつかみにくい状況が続いています。寒さや物資不足の中で不自由を強いられている被災者の皆さんが一刻も早く、落ち着いた普段の暮らしに戻られることを念じております。大きな被害が出ている石川県を中心に、被災地での新聞発行や情報発信に取り組むすべての新聞労働者に深い敬意を表します。
2日には羽田空港の滑走路で日本航空と海上保安庁の航空機が衝突する事故がありました。日航機の乗客367人と乗員12人は全員避難した一方、海上保安庁機の乗員6人のうち5人が亡くなる痛ましい事故となりました。年始の多客期に発生した重大事故とあって、事故原因の調査やUターンラッシュの影響などの報道に多くの仲間が従事しています。
大規模な自然災害と航空機事故という異例の事態が重なった年始となりました。地震被災地の報道各社を中心に、非常呼び出しを含む緊急体制で取材などの新聞発行業務に当たられていると思います。長丁場が予想される局面で、正確な情報を読者に提供する体制を持続可能なものにするためには、健全な労働環境が必須です。大規模災害や重大事故の取材は、心身に強いストレスを与えます。
かつては不眠不休が当たり前だった災害取材も、交代要員や休養期間を確保する取り組みが広がり、当然のように求められるものになっています。被災地では、地元駐在の記者に加え、帰省や旅行で滞在していた記者が現地に残って取材するケースもみられます。被災した親族や知人を案じながらの業務は、さぞ不安なことと思います。過酷な現場に立つ仲間に決して無理を強いないよう、労働組合はよりよい労働環境の確保を使用者に要求しましょう。心身ともに安全な状況で仕事を続ける環境を確保することは、読者の信頼に応える災害報道、事故報道を継続することにつながります。
新聞労連は、阪神淡路大震災(1995年)や東日本大震災(2011年)などの大災害の際、全国の新聞労働者を結ぶ労連のネットワークを生かした支援に取り組みました。被災地で活動する新聞労働者の皆さん。困ったことや、心配なことはありませんか。新聞労連を頼ってください。困難を乗り切る原動力は、仲間の連帯の力です。ともに頑張りましょう。
以上