旭川医科大問題 記者の不起訴処分に関する北海道新聞社への要望書

新聞労連 北海道新聞労働組合
中央執行委員長 安藤 健

日本新聞労働組合連合(新聞労連)
中央執行委員長 吉永磨美

 旭川医科大学で昨年6月22日、取材中の北海道新聞社旭川報道部記者が建造物侵入容疑で現行犯逮捕(常人逮捕)された問題で、検察は本日31日、逮捕された記者と取材を指揮していたキャップに対し、いずれも不起訴とする刑事処分を決定しました。日本新聞労働組合連合並びに北海道新聞労働組合は、編集局長ら北海道新聞社の経営陣に対し、両記者を含む組合員への適切な対応を求めるとともに、全ての組合員を守る覚悟と姿勢を明確に示すことを求めます。併せて経営陣には、逮捕時の報道姿勢を総括するとともに、当該職場の管理・監督に対する責任を取った上で、再発防止に向けた取り組みをさらに進めるよう要求します。

 逮捕された記者は、学長選考会議が開かれている大学構内に、業務である取材目的で立ち入りました。キャップは、その選考会議を取材させるために、記者に構内立ち入りを命じました。この日の会議は、多くの問題が指摘されていた学長の解任の是非が議題でした。公共建造物である大学構内の建物に立ち入ってこの会議を取材するという行為は、新聞記者として当然と言える業務です。しかし、大学が外部の者の入構禁止を求めていたことを理由に、記者は大学職員に常人逮捕され、書類送検されました。
 検察が本日、2人を不起訴処分としたのは、取材目的で建物に立ち入った行為について、建造物侵入罪を規定した刑法130条が違法性阻却事由として掲げる「正当な理由」に当たるとみなした可能性もあります。

 私たちはこれまで、憲法21条が掲げる表現の自由に基づく「報道の自由」、そしてその精神に照らして「十分尊重に値する」とされてきた「取材の自由」を根拠に、本件取材を正当な業務だと主張してきました。しかし、記者逮捕時の編集局の判断について局長は、本人から十分な聞き取りもできない中、「校舎4階まで深く入り、会議の内容を無断録音(盗聴)した」ことを理由に、「外形的事実に争いがない」として、記者を実名で報道。逮捕について紙面では「遺憾」の意を表明するだけで、大学側に抗議の意思も示しませんでした。
 記者並びにキャップの行為は、北海道新聞社、そして旭川報道部というチームが主体となった業務としての取材でした。正当な業務遂行中に逮捕され、会社が明確な抗議をしなかったことに対し、組合員からは強い不満と批判の声が上がりました。全社説明会でも、若手記者から会社への不信感を突きつけられたことは認識していることと思います。

 本日の不起訴処分を踏まえ、編集局長ら経営陣に要求します。
 記者らは不起訴処分となりましたが、今回の問題は道新社内だけでなく、業界全体の記者に不安を抱かせ、萎縮させるきっかけとなりました。逮捕時の報道姿勢が適切であったかについて総括し、会社としての見解を示してください。取材中だった記者を逮捕した大学と、記者の身柄を長時間にわたり拘束した警察に対し、「取材の自由」を脅かす過剰な対応だったとして厳重に抗議することも要求します。その上で、この事態を招いた管理・監督責任を速やかに取るとともに、組合員が再び同様の問題に直面することのないよう記者教育を強化することも重ねて求めます。

以上

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