こういう、ほとんど根拠にならないような根拠しか示せないわけで、要するに会っていないということは全く証明できていない。
 たとえば、同じ日の同じ時間に別の所にいたんだと ―― 安倍さんがたとえば海外出張していたとか ―― いうことがあれば動かぬ証拠になるでしょうけど、そういうものはないわけです。
 加計さんについても、それはないわけです。総理に会うんじゃなくて、ゴルフしてたとか、だれかと飯食ってたとか、そういう別の日程があったということが証明できれば、面談してなかったことは証明できるでしょうけど、そういうものもない。
 つまり、面談をしていないことを証明するための根拠になるものは何ひとつないわけで、むしろ、愛媛県文書になぜ、その面談があって、こういうコメントがあったということが書いてあるのか。
 それは、加計学園の事務局長である渡辺さんという方が愛媛県に詳細に報告されたからですね。「加計さんと安倍さんが会いましたよ」「こういう話になってますよ」と。これは意気揚々と、赫々たる戦果を報告するという、おそらく相当の高揚感をもって言ったと思いますよ。「さすがウチの加計理事長だ」と思ったのではないですかね、想像ですけど。
 ところが「面談をしていない」と言うためには、どういうストーリーにするかというと「渡辺さんという事務局長が虚偽の報告を愛媛県にしたんだ」というストーリーにするしかなくなっちゃったんですね。愛媛県の文書には書いてある。しかし、安倍さんは会ってないと言い張ってる。そうすると、会ってもいない面談を会ったかのように報告した事務局長が悪かったんだと。こういうストーリーにするしかない。
 加計孝太郎さんも、記者会見と言えるかどうか疑問な形ですけど、とにかく記者とカメラの前には姿を現したことが2回ありました。この渡辺さんという事務局長に対しては、コンプライアンスに違反することをしたという責任を取る形で、減給処分にしたと言ってましたね。減給処分といっても、おそらく次のボーナスか何かで埋め合わせしたと思いますけど。
 この加計学園の渡辺さんという事務局長は「何でそんな虚偽の報告を愛媛県にしたんですか?」と(記者から)聞かれて「ふと思って言った」と。「ふと、安倍首相は『そういう新しい獣医大学の考えはいいね』と発言したという話にしようと思った」と。
 そういうストーリーを、ふと思って言うんでしょうか。もし、この文書に書いてあることが嘘だとすると、その前後の文書との脈絡もつかない。つまり、矛盾が生じてきます。この面談がなかったということを証する根拠となるようなものは、何ひとつないわけで。
 仮にこれが裁判になれば、愛媛県文書が第一級の証拠として採用されて、これを否定するような証言は嘘だとされてしまうでしょうね。ですから、裁判になれば事実関係はもっと明らかになると思います。ですから私は、裁判になったらいいなと思っているんですけどね。それで一生懸命、名誉毀損で訴えてくれないかなあと思っているんですけども。