前川さん ちょっとアナロジーで考えたのは、私立大学の例ですね。大学には「学問の自由」ということがあるわけですけど、大学の経営側が特定の教育研究に介入して、それをやめさせるとか、特定の発言をしている人たちを冷遇するとか、そういうことをすることがあるわけですよね。
だから「報道の自由」とか「学問の自由」とか、まさに基本的人権として保障されるべきものが、民間の企業体・経営体の中で実現できない時に、どうやってそれを救うんだという問題。それは、やっぱり、民主主義社会の中で何らかの解決策を考えないと。
国家そのものではないんだけれども ―― 「中間組織」あるいは「中間団体」という言い方はあるかもしれませんが ―― それぞれの組織での権力関係の中で、本来あるべき自由、報道の自由、学問の自由というものが奪われる事態に対して、それをどう救ったらいいのかという問題があると思うんですよね。
労働組合にしても、学校の教職員組合にしてもそうなんですけど、単なる自分たちの「労働者としての権利」を主張するだけじゃなくて、それぞれ「職能団体」として自分たちの専門性に基づく活動、自由というものを確保するための力を持つべきだろうと思うんですよね。
私は長い間、日教組と対決する仕事をしていたわけです。最近は日教組を応援しているんですよ。日教組以外にも、いろんな組合がありますけども。日本全国、どこもかしこも組合が弱くなっちゃって、特にモノを言う組合が弱くなっちゃって、政権にすり寄っていくような組合が多くなって、それは非常に危ないなと思っているんですよね。
だから「職能団体」として自分たちの立場を守る。自分たちの仕事を守る。自分たちの、本来は自由であるべき活動を守る。そういう役割というのは、組合が持っている重要な役割だろうなと思いますし、それは単なる自分たちの勤務条件を良くしようというだけの労働組合ではなくて、本来、国民が保障されるべき自由をどうやって確保するかという意味での役割は大きいだろうなと、いまお話をうかがっていて思いました。
山陽新聞労働組合
- 前川喜平さんと考えるメディアのあり方~これでいいの?山陽新聞
- 漫画「山陽新聞が組合いじめ!」
- 当事者の横顔
- 開会あいさつ
- 第1部 講演(1)加計学園とメディアのあり方
- 第1部 講演(2)「山陽新聞会長=加計学園理事」は利益相反
- 第1部 講演(3)加計問題の本質は、安倍首相による国政私物化
- 第1部 講演(4)「首相の意向」で無理やり認可した獣医学部
- 第1部 講演(5)事実を報道できないNHK社会部の「意地」
- 第1部 講演(6)「出会い系バー」…ありがたかった文春砲
- 第1部 講演(7)「読売新聞が書くとは思えない」 ところが…
- 第1部 講演(8)自宅に取材攻勢 「会見するなら包囲を解く」
- 第1部 講演(9)書いてもいない「独占手記」が賞をもらい…
- 第1部 講演(10)愛媛県文書は「加計ありき」の動かぬ証拠
- 第1部 講演(11)首相と理事長の面談を「なかった」ことに…
- 第1部 講演(12)明らかな虚偽答弁 「首相案件」で地元負担倍増
- 第1部 講演(13)理事長会見のひどさ、メディアはもっと追及を
- 第1部 講演(14)教育に新聞を、加計・森友問題も題材に
- 第1部 講演(15)権力者が言う「中立性」にだまされるな
- 第2部 パネル討論(1) こんなにおかしい、山陽新聞の加計疑惑報道
- 第2部 パネル討論(2) 「第一労組」の日下委員長「経営が記事に介入しても何もしない」
- 第2部 パネル討論(3) 越宗会長=加計学園理事? 山陽新聞「分かりかねる」
- 第2部 パネル討論(4) 団交で「会長=加計学園理事」を認めた
- 第2部 パネル討論(5) 新聞社の「隠ぺい体質」は非常に問題
- 第2部 パネル討論(6) 安倍政権の窮地をイカサマで救った山陽新聞
- 第2部 パネル討論(7) 報道の自由を守る「職能団体」としての労組
- 第2部 パネル討論(8) 日本の新聞の半分は「政権プロパガンダ」
- 第2部 パネル討論(9) 越宗会長は加計学園理事を絶対辞めるべきだ
- 第2部 パネル討論(10) 安倍政権は「国民は愚か者だ」と思っている
- 第3部 争議の当事者あいさつ
- 第3部 閉会あいさつ
- 集会報道
- 集会参加者の声