さらに私とかかわりのあるメディアは、やはり読売新聞さんですけども、出会い系バーの話を記事にしたのは(2017年)5月22日だったですね。まず最初にショートメールで、もともと私の知り合いだった文部科学省担当の女性の記者からアプローチがあって、新宿のバーの問題について聞きたいと言ってる記者がいるけども、取材に応じるかというので、どうしようかなという感じでいたんです。
そうしているうちに、その取材してるという記者本人からメールが来ました。そこにさまざまな質問事項が書いてあって、これに答えてくれと言われたんです。それで、ちょっと旧知の大手メディアの関係者に相談したことがあります。
相談したところ「読売新聞ともあろうものが、こんな薄弱な根拠で記事を書くはずがない。だから放っとけばいいですよ。読売新聞が書くとは到底、思えない」というのが彼らの見解だったので「そうだろうなあ。こんな記事を読売新聞が書くとは思えないなあ」と思ったんですけど、ところが、5月22日の朝刊を見たら載ってたんですね。
この記事が出た5月22日の前日の21日に、私の文部科学省の後輩に当たる当時局長だった藤原君という人物、今は事務次官になりましたけど、この人物からメールが来まして「官邸の和泉総理補佐官が会いたいと言ったら、会う用意がありますか」と言ってきたんですね。
これは何のことかなと考えました。読売新聞からアプローチがありましたから、こういう記事が出る可能性と関係があるなというふうには思ってました。
私が思ったのは「おそらく加計学園問題に関する文科省文書のことだろうな」と。「和泉さんは、この文書の信ぴょう性を否定してくれと言うんじゃないかな」と。「この文書は見たことがない」とか「これは信ぴょう性がない」とか「どこかで勝手に作られたものではないか」とか。
そういうふうに私が言えば、それは事務次官をやった人間が「そんなものは文科省文書にありません」と言えば、それはそれでかなり信用はされますわね。「そういうふうにやれば、お前のスキャンダルはおさえてやる」と。こういうことだったんじゃないのかな ―― 後からの想像ですけどね ―― というふうに私は今でも思ってます。だから、今から思えば、ICレコーダーを持って会いに行けばよかったなと思ってますけどね。
この新宿のバーの話というのは、実はその前の年、2016年の秋ごろに、官邸の内閣官房副長官の杉田さんという人 ―― 警察官僚OBですけど ―― に呼ばれてご注意を受けたことがありましてですね。「君の立場からして、こういう所に出入りするのは控えたほうがいいよ」と言われたわけです。
何でこんな個人的な行動を知っているのかと驚きましたね。私は何かやましいことで行ってたわけではないし、違法あるいは不適切なことをやった覚えもないのですけどね。
確かに個人的な興味・関心で行ったことは間違いないのですけど、しかし、そこでいろんな話を聞いて…、実際に、言ってみれば社会の底辺でうごめいている人たちの話を聞くというのは、なかなか私にとっては勉強になったんですよ、はっきり言って。しかし、まあ、立場上そういう店には行かないほうがいい、というご注意を受けていた。これも事実です。
つまり、私がその店に行ってることは、官邸はすでに前から知っていたわけですね。その話は週刊文春さんからも言われたし、読売新聞からも言われた。ほかの週刊誌からもアプローチがありました。これは出所は一緒だろうなと思いましたよ。要するに官邸が出所なんだろうと。週刊文春も読売新聞も、官邸からその情報を得たんだろうと。
文春はそれを記事にしないと言った。ところが読売は記事にした。逆ならまだ分かりますよ。文春は記事にしたけど、読売はしなかったっていうなら「さすが読売新聞」となるんでしょうけどね。逆の意味で「さすが読売新聞」という感じがするんですけど。読売新聞さんは新聞労連のほうに入ってらっしゃるそうで。いや経営と組合は別ですから。
山陽新聞労働組合
- 前川喜平さんと考えるメディアのあり方~これでいいの?山陽新聞
- 漫画「山陽新聞が組合いじめ!」
- 当事者の横顔
- 開会あいさつ
- 第1部 講演(1)加計学園とメディアのあり方
- 第1部 講演(2)「山陽新聞会長=加計学園理事」は利益相反
- 第1部 講演(3)加計問題の本質は、安倍首相による国政私物化
- 第1部 講演(4)「首相の意向」で無理やり認可した獣医学部
- 第1部 講演(5)事実を報道できないNHK社会部の「意地」
- 第1部 講演(6)「出会い系バー」…ありがたかった文春砲
- 第1部 講演(7)「読売新聞が書くとは思えない」 ところが…
- 第1部 講演(8)自宅に取材攻勢 「会見するなら包囲を解く」
- 第1部 講演(9)書いてもいない「独占手記」が賞をもらい…
- 第1部 講演(10)愛媛県文書は「加計ありき」の動かぬ証拠
- 第1部 講演(11)首相と理事長の面談を「なかった」ことに…
- 第1部 講演(12)明らかな虚偽答弁 「首相案件」で地元負担倍増
- 第1部 講演(13)理事長会見のひどさ、メディアはもっと追及を
- 第1部 講演(14)教育に新聞を、加計・森友問題も題材に
- 第1部 講演(15)権力者が言う「中立性」にだまされるな
- 第2部 パネル討論(1) こんなにおかしい、山陽新聞の加計疑惑報道
- 第2部 パネル討論(2) 「第一労組」の日下委員長「経営が記事に介入しても何もしない」
- 第2部 パネル討論(3) 越宗会長=加計学園理事? 山陽新聞「分かりかねる」
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- 第2部 パネル討論(6) 安倍政権の窮地をイカサマで救った山陽新聞
- 第2部 パネル討論(7) 報道の自由を守る「職能団体」としての労組
- 第2部 パネル討論(8) 日本の新聞の半分は「政権プロパガンダ」
- 第2部 パネル討論(9) 越宗会長は加計学園理事を絶対辞めるべきだ
- 第2部 パネル討論(10) 安倍政権は「国民は愚か者だ」と思っている
- 第3部 争議の当事者あいさつ
- 第3部 閉会あいさつ
- 集会報道
- 集会参加者の声