藤井正人・山陽新聞労組書記長 これは2018年10月31日の団体交渉で、ちょうど加計孝太郎理事長が2度目の会見をやったタイミングに合わせて、この問題を追及しました。
 先ほど見ていただいたように「山陽新聞」の加計報道というのは非常に抑制的なんですよね。(ごく一部の例外を除いて)絶対に一面に持ってこない。どんなにつまらんニュースがあっても、一面につまらんニュースが載って、加計問題は後ろに引くという形の報道を、これまでし続けている。
よその新聞と比べて、朝日や毎日と比べて、うちの報道はあまりにも見劣りがするじゃないか、質・量ともに見劣りがするじゃないか、と追及しました。
そうすると、編集担当の取締役でもある日下知章労担は「地元紙なりのスタンスがあるんだ」「他紙と比べて、扱いの大きさとか掲載面に関しては違いがはっきり出ているけれども、別に加計に配慮したという思いはしてませんよ」と答えられました。
 私が決定的だと思ったのは、社説なんですよ。社説が昨年(2018年)1年間、(加計問題を正面から問うものは)全く出てないんです。一昨年(2017年)7月を最後にして全く出てないんですよ。
 これはおかしいだろう、これだけの問題になっていて何で社説が出ないんだ、ということを追及したんです。これはやはり、加計学園の理事を越宗孝昌会長が務めているからではないのか、それしか理由は考えれられない、と。
そう聞くと、僕はそんなものがニュースになるとは思ってなかったんですが、日下氏が「会長が理事をしているかどうかというのは関係ない」と答えられた(編注=さらに日下氏は「そもそも会長が理事をしているということを知らない社員もたくさんいる。別にそういう指示も下りたことはない」とも答えた)。ここで初めて、いま三宅君が言ったように、越宗孝昌会長が加計学園の理事だったということが証明されたということになるんだと思います。

南労連委員長 ありがとうございます。いま、藤井さんのほうから、加計報道が極めて抑制的だったというお話もあったんですけど、これは三宅さんが作られた資料の中でもかなり詳述されています。
 三宅さんは「山陽新聞」と「高知新聞」を比べているのですが、「加計」という見出しも「山陽新聞」の報道においては極力していなくて「高知新聞」の7分の1、8分の1。見出しだけを見ていても、加計報道がされているのかどうかも分からないような、地味な扱いがずーっと続いていました。
 今までのところで、前川さんもいろいろと話を聞かれる中で、山陽新聞の実態が徐々に分かってきた部分もあると思います。先ほど「ご飯論法」だとか「面従腹背」とおっしゃってましたけど、その役人の世界でも、自分のところのトップが理事をやっているということについて「分かりかねます」という回答をしますかね。そして、そんな会社の体質をどう思われますか。