加計学園問題の話をしていきますとあと3時間ぐらいかかりますので、非常にダイジェストにしてお話し申し上げますが、加計学園問題の本質は、安倍晋三という権力者、総理大臣による国政の私物化である。これはもう間違いのないことであります。
それは長く続く強い政権、長期政権の下での権力の腐敗である。「権力は腐敗する」という言葉がありますが、その1つの分かりやすい実例だと思いますね。
その腐敗とはどういうことかと言うと、本来、設置認可されるはずのない獣医学部が認可されたということです。そのプロセスについては、非常に歪められた行政プロセスを経ているわけですけれども、1つは「不公正」、1つは「不公平」、もう1つは「不透明」ということです。
「不公正」というのは、きちんとした審査をしていない。本来、国家戦略特区で獣医学部を認めるとすれば、それは国際的な競争力があるものでなければならない。「特別に競争力があるものだから、特別な規制緩和をする」というのが国家戦略特区という仕組みの目的ですから、世界中のどこの獣医学部とも競争できるような獣医学部でなければならない。
しかも、いわゆる「石破4条件」の下、獣医師の数はもともと足りているという前提がありますから「全く新しい分野の獣医師を養成するんだ」「これまでの大学ではできないことをやるんだ」―― たとえば東大でも北大でも獣医師養成をしてますけれども ――「東大でも北大でもできないことを加計学園だったらできるんだ」ということが証明されないといけなかったんです。その審査は全くしてません。審査したら確実に落ちたでしょうが。
それから「不公平」とは何かと言うと、強力なライバルである京都産業大学がいたわけですけど、京都産業大学と加計学園との獣医学部新設計画を公平に比べたわけではないんですね。
これはもう、加計学園獣医学部を生き残らせるために、京産大の獣医学部計画は闇から闇に葬られたと言ってもいい。後付けの条件を付けて排除してしまった。「広域的に獣医学部が存在しない地域に限り、獣医学部の新設を認める」と。
広域的にというのは、近畿地方とか中国地方とか四国地方とかですけども、岡山県が属する中国地方であれば島根県と山口県にあるわけですね。近畿地方であれば大阪府立大学に獣医師養成学部があります。そして、四国地方にはないんです。ということで、四国だったらつくってもいいけど、近畿地方はつくっちゃいけないと。こういう条件を後から付けたということですね。
それから、平成30年度開設でなければならないという、これまたひどい条件を29年の1月に付けたわけですから。平成29年の1月に「30年4月に獣医学部をつくれ」といわれて、つくれる大学なんてホントはなかったはずなんです。
しかし、加計学園だけが手を挙げた。なぜかと言えば、ずっと前から準備を始めていたからです。このような形で、京産大は非常に不公平な形で排除されたということです。
「不透明」というのは、そこまでに至る経緯がずーっと伏せられていて「加計隠し」が行われていたということですね。加計学園が獣医学部をつくるなんてことは、表には全然出てこない形にしていた。
しかし、政府内部では「これは加計の話だ」ということはみんなが知っていた。こういう状況で「でも加計という言葉は出してはいけない。これはあくまでも今治市が考えていることであって、加計学園になるかどうかは、最終的に今治市が公募した後で決まることだ」という建前がありましたから、最初から「加計学園ありき」だったわけですけど、ずっと伏せられていた。
その間のいろいろな会議にも加計学園の関係者が出席して発言してますけど、それは全部、議事録から消されている。こういう形で「加計隠し」が行われていた。それが不透明ということです。