三宅さん まあ加計問題自体は、私は取材するというよりも、発表されたものを見ながら「ひどいなあ」という感想を持つという立場でした。山陽新聞の越宗孝昌さんは、私が仕事していた時の編集局長だった方ですね。「おや、社長になったのか。会長になったのか」ぐらいに見ていましたが、加計学園の理事の名簿の中にこの名前があったもんですから「これって、ちょっとまずくないの?」と思ってたんです。
ところが、このことをどこも報道しない。そのことにちょっと不満を感じていたんですね。加計問題がすごく騒ぎになっていても、理事長の加計孝太郎さんがメディアに出てこないということが言われていたんで「単独会見できるのはここしかないだろう、山陽新聞だぞ」みたいなことを冗談半分に言っていました。
そうしたら記者会見をやった。大阪で地震があった翌日に突如開いたとか、地元記者クラブ以外は入れないとか、やり方にはいろいろ批判がありましたが、記者会見の幹事社をした山陽新聞は会長が加計学園の理事をやっている会社なんだから、ある意味、自作自演なわけですよね。
「自作自演じゃないか。なんでだれも言わないの?」と。そういう気持ちがあって、じゃあ、おれが書くしかない、となりました。何を書こうかなということで、まずは山陽新聞の越宗孝昌さんが加計学園の理事というのはホントかどうか、確認してみようと考えた。「名前は一緒だけども、同一人物ですか」と確認するために、山陽新聞に電話をかけんです。
そうすると、山陽新聞の答えは「分かりかねる」でした。「よろしいですか?」と聞かれたので「よろしくない」と答えました。「加計学園に聞いてください」とも言うので、「加計には聞くけど、お宅の会長なんだから」としつこく食い下がって、30分ぐらい延々と話した結果、結局は「分かりかねる」「答えられない」と言われて、電話を一方的に切られました。
一番最初のところから事実確認ができないということになり「どうしようかな」と思っていた時に、山陽新聞労組が団体交渉で、加計学園の理事の「越宗孝昌」さんと山陽新聞会長の「越宗孝昌」さんは同じ人だということを確かめた。団交で初めて裏が取れた。
私はこれだけでも、組合員3人なんですけども、山陽新聞労組の存在する意味、社会的意義は極めて大きいと。みなさんもそう思いませんか。私は本当にそう思うんです。
世論が盛り上がって、NHKの「ニュース9」とかでバーッとやれば、さすがの山陽新聞でも答えざるを得ない。ところが、マスメディアが沈黙し、世論がシーンとしていたら、こういうしらばっくれが平気で通用しちゃう。だから、この加計孝太郎さんの記者会見をきっかけに、加計学園への批判的なトーンは一気に収束していくわけなんですね。やり方は下手だったかもしれないけども、目的はかなり達成しているんです。
それでも、労組というものを通じて、まず第一歩の事実を確認できたということは、私としてはよかったと思います。
南労連委員長 ありがとうございます。取材する側で「答えてください」ということを日々やっている報道機関のほうが「分かりかねる」という対応をしたんですけど、初めて完全に裏が取れたのが山陽新聞労組と経営陣との団体交渉の場だったということです。
今日は私の隣に、山陽新聞労組書記長の藤井さん、この交渉を直接やり合ったメンバーの1人が来ているので、その時のやり取りを説明していただけますか。